日本の子どもたちを、少し引いた目で見てみると、「どうしたらお金がもらえるのか」「どうやって働くと、お金になるのか」それを知る機会が、とても遅いように感じます。
その背景には、「子どもがお金の話をするものじゃない」「お金は、なんだか汚いもの」そんな考え方が、知らないうちに伝わってきたこともあるのかもしれません。
でも、お金がどうやって生まれるのかを知らないままだと、「なぜ働くの?」「仕事って、どんな種類があるの?」そんなところまで、なかなか想像が広がらないのです。
親が仕事から帰ってきて「しんどーい」「大変」と言っているのを見ていたら、誰だって「仕事なんかせずに、ずっと遊んでたい。子どもでいたい」と思うのも当然ですよね。
つい、言っちゃいますけど(笑
私は昔、子どもたちにいろいろな働き方のお話をしたことがあります。ポイントは「職種」ではなく「働き方」です。
むずかしい説明はせず、「世の中には、こんな働き方があるんだよ」と、絵を描くような気持ちで伝えました。
たとえば、こんな人たちです。
A:平日は毎日、朝から夕方まで働いて、お休みは土日。毎月、決まったお給料をもらう人。
B:お家を売るお仕事をしていて、たくさん売れた月は、お給料も増える人。その代わり、お休みの日は土日ではなく水曜日とか木曜日など、他の人とは少し違います。
C:自分で会社をやっていて、うまくいったときはたくさんもらえるけれど、うまくいかないと、もらえない月もある人。
D:市役所などで働いていて、お給料の金額が、国の決まりで決まっている人。
E:決まった曜日だけ、決まった時間だけ働いて、時間ごとにお給料をもらう人。
どれが正しくて、どれが間違い、という話ではありません。大切なのは、働き方も、お金の受け取り方も、ひとつじゃないということです。
またお金は、費やした時間や労力ですべて決まるわけではないという事も、ふんわりとでも知ってもらいたかったのです。
そしてもうひとつ、一番伝えたかったのは、「それを選ぶのは、自分だ」ということ。
たくさん働いて、たくさんもらいたい人。時間を大切にしながら働きたい人。安定を選ぶ人もいれば、挑戦を選ぶ人もいます。
どれが幸せかは、人それぞれです。だから子どもには、「自分は、どんな働き方をしたら、うれしいかな?」そんなふうに、ぼんやりでいいから考えてほしいのです。
お金は、働いたことへの「ありがとう」として受け取るもの。でもそれだけでなく、生き方の選択と、深くつながっているものでもあります。
だからこそ、仕事の話と一緒に、いろいろな働き方があることを、早いうちから、やさしく伝えてあげてほしいなと思います。
それはきっと、子どもが将来、「自分はどう生きたいか」を考えるときの、小さな地図になってくれるはずです 。
こういう話をすると、「お母さんは、どうだったの?」「お父さんは、どうだったの?」と聞いてくるかもしれません。
私は子どもに誇れるような素晴らしい経歴を持っているわけでもないので、実は少々耳が痛い質問です。
だけど、上っ面の話をしたって、子どもたちの為にはなりません。
良かったと思う事も、失敗したなと思う事も、人生の先輩として見せてあげる事は大事かなと思うのです。
その上で「あなたはどうする?」と自分で選んでいく事こそが、自立といえるのではないでしょうか。
