育休から仕事へ戻ったあと、時短勤務を選ぶ家庭もあります。
子どもとの時間を確保しやすくなる一方で、勤務時間が短くなれば給与も下がる可能性があります。
「1日2時間短くしたら、手取りはいくら減るの?」
ここは復職前に計算しておきたいところです。
※本記事は2026年10月20日時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。給与の計算方法や時短勤務の利用条件は、勤務先の規程などによって異なります。
3歳未満は短時間勤務制度がある
事業主は原則として、3歳未満の子どもを育てる労働者が利用できる短時間勤務制度を設ける必要があります。
制度には、1日の所定労働時間を原則6時間とする仕組みを含める必要があります。
ただし、労使協定によって一定の労働者が対象外となる場合があり、業務の性質などによっては代替措置が設けられることもあります。
また、給与をどのように計算するかは会社の規程によります。
法律上、短くなった勤務時間分まで給与を保障する仕組みではありません。
8時間から6時間なら単純計算で25%減
たとえば1日8時間勤務で月給30万円だった人が、6時間勤務になったとします。
勤務時間に比例して給与が減る会社なら、30万円×6時間÷8時間=22万5,000円となります。
月7万5,000円の減少です。
1年間続けば単純計算では、7万5,000円×12か月=90万円の差になります。
ただし、これは税金や社会保険料を差し引く前の給与額です。
実際の手取り額は、所得税や住民税、社会保険料などによって変わるため、必ずしも25%減るとは限りません。
また、残業代、通勤手当、役職手当、賞与なども会社によって計算方法が異なります。
復職前に、勤務先の人事・労務担当者へ確認しておきましょう。
育児時短就業給付金は「2歳未満」まで
2025年4月から、一定の条件を満たす人には育児時短就業給付金が支給されています。
これは、2歳未満の子どもを養育する雇用保険の被保険者が、育児のために勤務時間を短縮し、賃金が低下した場合などに支給される制度です。
支給額は原則として、時短勤務中に支払われた賃金の10%です。
たとえば、時短前の賃金が月30万円、時短後の賃金が22万5,000円なら、条件を満たせば月2万2,500円の給付金が支給される計算になります。
この場合、給与22万5,000円と給付金2万2,500円の合計は24万7,500円となります。
ただし、時短後の賃金が時短前の賃金の90%を超える場合は、給付率が調整されます。また、賃金が減っていない場合や、支給限度額などの条件に該当する場合は、支給されないこともあります。
重要なのは、対象が2歳未満の子どもを養育する人という点です。
2歳になると、育児時短就業給付金は原則として支給されなくなります。
一方、法律上の短時間勤務制度は原則3歳未満まで利用できるため、2歳から3歳までの間は、時短勤務を続けられても給付金は受けられない場合があります。
この違いは、復職後の家計を考えるうえで押さえておきたいポイントです。
※育児時短就業給付金については、「第2章-3 育児休業給付金はいくらもらえる?」にて詳しく紹介しています。
3歳以降は会社が用意する制度を確認する
2025年10月から、3歳から小学校入学前までの子どもを育てる労働者について、事業主は柔軟な働き方を実現するための措置を講じることが義務になりました。
具体的には、次の5つの選択肢から2つ以上を用意する必要があります。
1.始業時刻等の変更(時差出勤など)
2.テレワーク等(月10日以上)
3.保育施設の設置・運営等
4.養育両立支援休暇の付与(年10日以上)
5.短時間勤務制度
労働者は、会社が用意した制度の中から一つを選んで利用できます。
つまり、3歳になったら、すべての会社で必ず時短勤務を続けられるとは限りません。ただし、会社独自の制度として、3歳以降も時短勤務を認めている場合があります。
また、事業主には、子どもが3歳になる前の適切な時期に、利用できる制度を個別に案内し、利用意向を確認することも義務付けられています。
3歳になる直前に慌てることがないよう、早めに勤務先の制度を確認しておきましょう。
時短勤務で社会保険料が変わることもある
時短勤務によって給与が下がると、健康保険料や厚生年金保険料の負担が変わる場合があります。
育児休業終了時に3歳未満の子どもを養育している人は、一定の条件を満たせば「育児休業等終了時報酬月額変更届」によって、実際の給与に応じた標準報酬月額へ改定できる制度があります。
これにより、給与が下がったあとも以前の高い給与水準に基づいて社会保険料を負担し続ける状況を、一定の条件のもとで見直すことができます。
また、3歳未満の子どもを養育する期間中に給与が下がった場合、将来受け取る厚生年金額が不利にならないようにする「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度もあります。
これは、一定の条件を満たせば、年金額の計算において子どもを養育する前の標準報酬月額を用いることができる仕組みです。
いずれも手続きが必要となるため、時短勤務を始める際は、勤務先に確認しておくと安心です。
時間だけでなく年収で考える
「1日2時間短くなるだけ」と思っても、年間で見ると大きな差になることがあります。
確認したいのは月給だけではありません。
賞与はどうなるか。昇給や評価に影響するか。退職金の計算はどうなるか。
育児時短就業給付金の対象になるか、社会保険料はどう変わるか。
こうした条件も含めて、年間の収入や手取り額を比較してみましょう。
時短勤務は収入が減る一方、子どもの送迎や家事を回しやすくなるなど、お金だけでは測れないメリットもあります。
家計にとって無理のない働き方を考えてみましょう。
収入が減ることだけを見れば不安になるかもしれませんが、子どもが小さい時期にしか持てない時間もあります。
家計と時間、どちらも大切にしながら、自分たちに合う選択をしてよいと思います。
参考にした主な公的資料
- 厚生労働省「育児休業制度特設サイト 短時間勤務等の措置」
- 厚生労働省「育児休業制度特設サイト 柔軟な働き方を実現するための措置」
- 厚生労働省「Q&A~育児休業等給付~」
- 厚生労働省「育児・介護休業法について」
- 日本年金機構「育児休業等終了時報酬月額変更届の提出」
- 日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)の育児休業等が終了したときの手続き」
※短時間勤務制度の利用条件や給与・賞与の計算方法は、勤務先の就業規則などによって異なります。また、育児時短就業給付金や社会保険の特例制度には、それぞれ適用要件があります。詳細は勤務先やハローワーク、年金事務所などに確認してください。
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