4年生からのお金の勉強

ケチと節約どこが違うのか?

「お金を使わない人は偉い」

私が小さい頃、両親からそんなふうに言われたことがあります。

自分の欲しい気持ちをコントロールし、我慢できるから偉いという意味だったのかもしれません。

けれど私は子どもながらに、「どうして、お金を使わないだけで偉いんだろう?」と不思議に思っていました。

確かに、お金を大切にすることは良いことです。無駄遣いばかりしていれば、お金はすぐになくなってしまいます。

でも、お金を使わないことと、お金を大切にすることは、同じではありません。

今日は、「ケチ」と「節約」の違いについて考えてみましょう。

ケチと節約は似ているようで違う

たとえば、お昼ごはんを毎日お弁当にして、水筒も持参している人がいるとします。

外で食事をしたり、飲み物を買ったりする回数が減るので、その分、お金を残すことができます。

これは節約でしょうか。それともケチなのでしょうか。

その違いを考える時に大切なのは、何のためにそうしているのかということです。

将来の夢をかなえるために、お金を貯めている。
家族旅行へ行くために、少しずつ準備している。
資格を取るための勉強に、お金を使いたい。
自分の健康を考えて、お弁当を作っている。

このように、自分にとって大切な目的があり、そのために使う場所を選んでいるのなら、それは立派な節約です。

節約は「使わないこと」ではない

節約と聞くと、欲しいものを我慢して、とにかくお金を使わないことだと思う人もいるかもしれません。

でも、本当の節約は少し違います。

自分にとって大切なことのために、お金を残しておくこと。必要なものと、今は必要でないものを見分けること。そして、使わなくてよいところでは使わず、必要なところにはきちんと使うこと。

それが節約なのだと思います。

勉強に必要な本。
部活動で使う道具。
健康を守るために必要なもの。

こうしたものまで、無理に我慢する必要はありません。

たとえば、誰もいない部屋の電気を消すことは節約です。必要のない電気を使わないことで、お金も資源も大切にできます。

けれど、本を読んでいる人に「電気代がもったいないから消しなさい」と暗い部屋で過ごすことを強いるなら、それは節約とは少し違います。

自分は満足していても、必要なものまで削ったり、誰かに我慢を押しつけたりしているなら、ケチだと受け取られることがあるかもしれません。

ケチとは、どんな使い方だろう

では、ケチとはどのような状態なのでしょうか。

自分のためにはお金を使うのに、ほかの人のためには出したがらない。
自分が払うべき場面でも、いつも誰かに払ってもらおうとする。
必要なものまで削って、とにかくお金が減らないことだけを優先する。

このような使い方を続けていると、周りの人から「ケチだな」と思われてしまうことがあります。

友だちが持っているおやつを見て、いつも「欲しい、欲しい」とねだり、分けてもらっているのに、自分がおやつを持っている時には、決して人に分けようとしない。

そんな友だちがいたら、どんな気持ちになるでしょうか。

そう質問すれば、子どもでもきっと「嫌な気持ちになる」と答えるでしょう。

もちろん、お金の使い方は人それぞれですし、何に価値を感じるかも違います。

ですが、お金を残すこと自体が目的になり、必要な場面でも出し惜しみをしてしまうと、人との関係にまで影響することがあるという事は、教えてあげたい事です。

わずかな支出を惜しんだことがきっかけで、友達との信頼を失ったり、周りの人から距離を置かれたりしてしまっては、残したお金以上に大切なものを失うことになるかもしれません。

節約とケチを分けるもの

節約とケチを分けるのは、単に使った金額の多い少ないではありません。

何のために使わないのか。
必要なものまで削っていないか。
誰かに負担を押しつけていないか。
そして、使わなかったお金を何のために残すのか。

こうしたことを考えると、その使い方が節約なのか、ただの出し惜しみなのかが見えてきます。

節約には、「大切なもののために選んで使う」という前向きな目的があります。

一方でケチは、「減ることが嫌だから使わない」という気持ちが強くなり、お金を持っていること自体が目的になってしまうことがあります。

お金は人生を支える道具

お金は、ただ集めるためにあるものではありません。

安心して生活するため。
学びたいことを学ぶため。
大切な人と楽しい時間を過ごすため。
誰かを助けたり、応援したりするため。

私たちが自分らしく生きるために、お金はさまざまな場面で力を貸してくれます。

だから、使うべきところでは使う。使わなくても困らないところでは使わない。その判断ができる人が、お金と上手に付き合える人なのだと思います。

親として伝えたいこと

子どもたちには、「安いから買う」でもなく、「高いものだから良い」でもなく、「自分にとって、その金額を払う価値があるだろうか」
と考えられるようになってほしいと思います。

同じ千円でも、ある人には高く感じ、別の人には払う価値があると感じることがあります。

大切なのは、周りの基準だけで決めるのではなく、自分が何を大切にしたいのかを考えることです。

節約とは、お金を使わない技術ではありません。

限りのあるお金を、自分にとって本当に大切なものに使うための選択です。

その力は、大人になってからも必ず役に立ちます。

今日からできること

何かを買う時や、反対にお金を出すことを迷った時は、一度だけ自分に聞いてみてください。

「私は、何のためにこのお金を残したいのだろう?」
「必要なものまで削っていないだろうか?」
「誰かに負担を押しつけていないだろうか?」
「このお金を使うことで、大切にできるものは何だろう?」

ケチと節約は、どちらも「お金を使わない」という点では似て見えることがあります。

でも、節約には、その先に大切にしたいものがあります。

未来の自分のため。
家族のため。
夢や目標のため。

使うところと残すところを、自分で考えて選ぶ。それが、お金を大切にするということなのではないでしょうか。

子どもが自分の欲しいものを買ってくれない親に対して「ケチ!」なんていう言葉が出る様なら、この話を思い出して一緒に考えてみて下さいね。