妊娠が分かると、出産まで定期的に受けることになるのが「妊婦健診」です。
おなかの赤ちゃんが順調に育っているか、妊婦本人の体に問題がないかを確認する大切な健診ですが、気になるのはその費用ではないでしょうか。
「妊婦健診は無料だと思っていたのに、窓口で支払いがあった」
そんな話を聞いて、不安に感じる人もいるかもしれません。
妊婦健診には自治体の公費助成があります。ただし、すべての健診や検査が、必ず無料になるわけではありません。
この記事では、妊婦健診を受ける回数や助成券の仕組み、自己負担が発生するケースについて、分かりやすく整理します。
※本記事は、2026年7月16日時点の公的資料をもとに作成しています。助成内容は自治体によって異なるため、実際に受診するときは、お住まいの自治体や医療機関で最新情報をご確認ください。
妊婦健診は何のために受けるの?
妊婦健診では、妊婦本人の健康状態と、おなかの赤ちゃんの発育を定期的に確認します。
毎回行われる基本的な項目には、問診や診察、体重・血圧測定、尿検査などがあります。妊娠週数に応じて、血液検査、子宮頸がん検診、超音波検査、感染症の検査なども行われます。
自覚症状がなくても、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などの兆候が見つかることがあります。妊婦健診は、母子の健康を守るために欠かせないものです。
標準的な検査項目は、国が示す「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」などに定められています。
妊婦健診は出産までに14回程度
国が示している標準的な受診回数は、出産までに14回程度です。一般的な受診間隔は、次のようになっています。
– 妊娠初期から妊娠23週まで:おおむね4週間に1回
– 妊娠24週から妊娠35週まで:おおむね2週間に1回
– 妊娠36週から出産まで:おおむね1週間に1回
ただし、14回というのはあくまで標準的な目安です。
妊娠が分かった時期、出産予定日を過ぎた場合、双子などの多胎妊娠、妊婦や赤ちゃんの状態によっては、受診回数が増えることがあります。
妊婦健診の「助成券」とは?
妊娠届を自治体に提出して母子健康手帳を受け取る際、妊婦健診に利用できる受診券や補助券などが交付されます。一般には「助成券」と呼ばれることもありますが、正式な名称や券の形は自治体によって異なります。
助成券を契約医療機関の窓口に提出すると、自治体が定めた健診項目や上限額について、公費による助成を受けられます。
2025年4月1日時点では、全国すべての市区町村で、14回以上の妊婦健診に対する公費負担が行われています。
また、妊婦一人当たりの公費負担額は、前回調査の10万9,730円から、助成額は増え全国平均で11万3,647円でした。(こども家庭庁「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について」による数値です。)
助成券があっても無料とは限らない
公費助成があると聞くと、「妊婦健診にはお金がかからない」と思うかもしれません。しかし、助成券は、すべての費用を無制限に負担してもらえる券ではありません。
自治体ごとに、
– 助成する健診の回数
– 対象となる検査
– 1回当たりの助成上限額
– 利用できる医療機関
などが定められていて、実際の健診費用が助成額を上回った場合、その差額は自己負担となります。
2025年4月時点の調査では、受診券方式を採用している1,614市区町村のうち、国が示す望ましい基準のすべての検査項目を公費負担しているのは1,564市区町村、96.9%でした。
多くの自治体で標準的な検査が助成されていますが、地域によって対象範囲に違いがありますので、お住いの自治体に問い合わせをして確認しておきましょう。
自己負担が発生しやすいのはどんなとき?
妊婦健診で自己負担が発生する主なケースには、次のようなものがあります。
母子健康手帳を受け取る前に受診したとき
妊娠の可能性があるときの初診や、妊娠を確認するための診察は、助成券を受け取る前になることがあります。自治体によって扱いは異なりますが、母子健康手帳の交付前に受けた診察は、公費助成の対象にならない場合があります。
健診費用が助成上限額を超えたとき
助成券に記載された上限額より、医療機関の健診費用が高い場合は、差額を窓口で支払います。同じ検査でも、医療機関によって料金が異なることがあります。
助成対象外の検査を受けたとき
医師が必要と判断した検査や、本人が希望して追加した検査の中には、自治体の助成対象に含まれないものがあります。希望による追加の超音波検査や画像・動画の保存、出生前検査などは、別料金になることがあります。
助成券の回数を使い切ったとき
出産予定日を過ぎて健診回数が増えた場合などは、交付された助成券を使い切ることがあります。追加分への独自助成を設けている自治体もあるため、窓口に確認してみましょう。
里帰り先で助成券を使えないとき
里帰り先の医療機関と、住民票のある自治体との間に契約がない場合、助成券をそのまま使えないことがあります。その場合は、いったん健診費用を全額支払い、後日、自治体へ申請して助成額の払い戻しを受ける「償還払い」が一般的です。申請には、領収書、診療明細書、未使用の受診券などが必要になる場合があります。里帰り出産を予定している人は、受診前に自治体へ確認しておくと安心です。
妊婦健診はいくら用意しておけばよい?
妊婦健診の自己負担額には、全国一律の目安がありません。自治体の助成内容だけでなく、受診する医療機関や追加検査の有無、妊娠経過によって金額が変わるためです。
まずは母子健康手帳と助成券を受け取ったら、次の点を確認してみましょう。
– 助成券は何回分あるか
– どの検査が助成対象になるか
– 医療機関で毎回どの程度の自己負担があるか
– 追加検査にはいくらかかるか
– 里帰り先でも助成券を使えるか
– 償還払いの申請期限と必要書類
医療機関の受付で、「助成券を使った場合、通常はどのくらい自己負担がありますか」と聞いておくのも一つの方法です。
妊婦健診の費用は毎回同じとは限りません。血液検査などがある日は、通常の健診より支払いが多くなることもあります。少額でも慌てないよう、健診のたびに支払えるお金を少し余分に用意しておくと安心です。
領収書と明細書は必ず残しておこう
妊婦健診で自己負担した費用は、内容によって医療費控除の対象になる可能性があります。通院に利用した公共交通機関の費用なども、条件を満たせば対象になることがあります。
医療費控除を利用するかどうかが決まっていなくても、妊婦健診や検査の領収書、診療明細書は捨てずに保管しておきましょう。
里帰り先で償還払いを申請する場合にも、領収書が必要になることがあります。
助成券は、安心して健診を受けるための支え
妊婦健診には公費助成があり、全国の自治体で14回以上の費用負担が行われています。ただし、助成内容や上限額は自治体によって異なり、健診費用の全額が必ず補われるわけではありません。
窓口で支払いがあったからといって、助成券が使われていないとは限りません。助成された金額を差し引いたうえで、残った差額を支払っていることもあります。
分からないことがあれば、医療機関や自治体の窓口で確認して大丈夫です。妊婦健診は、費用を惜しんで回数を減らすものではありません。
公費助成を上手に利用しながら、妊婦本人と赤ちゃんの健康を見守る時間として、必要な健診を受けていきましょう。
参考にした主な公的資料
– こども家庭庁「妊婦健診に関する取組み」
– こども家庭庁「妊婦健康診査の公費負担の状況に係る調査結果について(令和7年4月1日現在)」
– 厚生労働省「妊婦健診における標準的な項目一覧」
– こども家庭庁「母子保健に関する最近の動きについて」
※制度や助成内容は自治体によって異なります。最新情報は、お住まいの自治体が交付する案内書や公式サイトをご確認ください。
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