子どもにかかるお金はいくら?妊娠・出産から大学まで

第2章-10 子どもが病気になったときにかかるお金

医療費助成・入院・病児保育まで解説

赤ちゃんや小さな子どもは、突然熱を出したり、風邪をひいたりすることがあります。

昨日まで元気に遊んでいたのに、朝起きたら発熱。保育園から、「熱が出たので、お迎えをお願いします」と連絡が入ることもあるでしょう。そんなとき、体調そのものと同時に気になるのがお金です。

「小さい子どもの病院代は無料なの?」
「薬代も助成される?」
「入院したら、どのくらいかかる?」
「仕事を休まなければならなくなったら?」
「病児保育はいくらくらい?」

子どもの医療費には健康保険がありますし、多くの場合は自治体の医療費助成も利用できます。一方で、

  • 入院中の食事
  • 個室代
  • 交通費
  • 病児保育
  • 親が仕事を休んだことによる収入減

など、医療費以外のお金がかかることもあります。

この記事では、0歳から3歳未満の子どもを中心に、病気やけがをしたときにかかるお金と、利用できる公的制度について分かりやすく解説します。

※本記事は、2026年8月15日時点で確認できる厚生労働省・こども家庭庁などの公表情報をもとに作成しています。子どもの医療費助成、病児保育の料金や利用条件などは自治体によって異なります。実際に利用するときは、お住まいの自治体の最新情報をご確認ください。


まず知っておきたい|0~2歳の医療費は原則2割負担

日本では健康保険が適用される医療を受けた場合、年齢によって窓口で負担する割合が決まっています。小学校入学前の子どもは、原則として医療費の2割を自己負担します。

たとえば、健康保険が適用される診療費が総額5,000円だった場合、5,000円×20%=1,000円が、本来の窓口負担です。

総額1万円なら、1万円×20%=2,000円です。ただし、実際にはここからさらに、自治体が実施する「こども医療費助成」などによって負担が軽くなることがあります。

すべての市区町村で子どもの医療費助成が行われている

こども家庭庁の2025年度調査によると、2025年4月1日時点で、すべての都道府県・市区町村が子どもの医療費助成を実施しています。

市区町村では、通院・入院ともに、18歳になった後、最初の3月31日までを対象としている自治体が最も多くなっています。そのため、0~2歳の子どもであれば、何らかの医療費助成を利用できる自治体がほとんどです。

ただし、「全国どこでも医療費が完全に0円」という意味ではありません。

自治体によって自己負担額は違う

子どもの医療費助成は国の全国一律制度ではなく、自治体が実施しています。そのため、

  • 完全無料
  • 1回数百円の自己負担
  • 1日ごとの自己負担
  • 月ごとの上限あり
  • 所得制限あり・なし
  • 入院と通院で条件が違う

など、内容は地域によって異なります。また、対象年齢も自治体によって違います。

まずは、「○○市 こども医療費助成」と検索してみましょう。

第2章の記事「自治体の子育て支援をどうやって調べる?」でも、地域の支援制度の探し方を詳しく紹介しています。

子ども医療費助成は、原則として保険診療の自己負担を助成する制度

一般的な子ども医療費助成では、健康保険が適用される診察・検査・治療・処方薬などの自己負担分が対象になります。たとえば、

発熱で小児科を受診する。
中耳炎で耳鼻科へ行く。
転んでけがをして外科を受診する。
処方箋をもらい薬局で薬を受け取る。

といった保険診療です。ただし、具体的な助成範囲は自治体によって違います。

医療費助成の対象にならないお金もある

「子どもの医療費が無料なら、病院でかかるお金はすべて無料」とは限りません。一般に、健康保険が適用されない費用は、子ども医療費助成の対象にならないことがあります。たとえば、

  • 診断書などの文書料
  • 健康診断
  • 任意の予防接種
  • 薬の容器代
  • 差額ベッド代
  • 入院中の食事の自己負担
  • その他の自費診療

などです。実際に自治体の医療費助成でも、保険診療の自己負担部分を対象とし、こうした保険外費用を助成対象外としている例があります。「医療証があるから何でも無料」と考えず、入院など大きな治療になる場合は、何が助成対象なのか確認しておきましょう。


病院へ行くときに必要なもの

子どもが病院を受診するときは、

  • マイナ保険証または資格確認書
  • 子ども医療費助成の医療証など
  • 母子健康手帳
  • お薬手帳

などを持っていくと安心です。自治体や医療機関によっては、マイナンバーカードを使って子どもの医療費助成資格を確認できる仕組みも導入されています。ただし、2026年8月現在、すべての自治体・医療機関が対応しているわけではありません。

厚生労働省も、自治体と受診する医療機関・薬局の双方が対応していれば医療証などの持参が不要になる一方、未対応の場合は引き続き持参が必要と案内しています。

当面は、「マイナンバーカードだけ持って行けば大丈夫」と決めつけず、自治体の案内を確認しておきましょう。


旅行先や帰省先で病院へ行ったらどうなる?

子どもは、自宅近くにいるときだけ病気になるわけではありません。

旅行中。帰省中。里帰り中。そんなときに発熱することもあります。

自治体の医療費助成は、地域外の医療機関では医療証をそのまま使えない場合があります。その場合、

いったん健康保険の自己負担分を窓口で支払う

領収書を保管する

後日、自治体へ申請して払い戻しを受ける

という方法になることがあります。

払い戻しの方法や申請期限は自治体によって違います。旅行先などで医療費を支払った場合は、領収書を捨てずに保管しておきましょう。]


夜間・休日は「どこへ行けばいい?」にも迷いやすい
赤ちゃんの病気で困るのが、病院が開いていない時間です。

夜中に急に高熱が出た。
何度も吐いている。
転んで頭をぶつけた。
救急外来へ行くべきか、朝まで待ってよいのか。

特に初めての子育てでは、判断に迷うことも多いでしょう。そのようなときに利用できるのが、子ども医療電話相談「#8000」です。

#8000なら小児科医師・看護師に相談できる

#8000は、休日や夜間に子どもの症状について判断に迷ったとき、小児科医師や看護師などへ電話で相談できる全国共通の仕組みです。電話をかけると、住んでいる都道府県の相談窓口へ転送されます。

  • すぐ受診した方がよいか
  • 家でどのように対処したらよいか
  • どの医療機関を受診したらよいか

などについてアドバイスを受けられます。

「救急車を呼ぶほどなのか分からない」
「夜間救急へ行った方がいい?」

というときに知っておくと安心です。ただし、明らかに緊急性が高い場合には、相談を待たず119番を利用してください。

夜間・休日診療では通常より費用が高くなることも

夜間、休日、深夜などに医療機関を受診すると、診療報酬上の時間外・休日・深夜の加算がつく場合があります。

健康保険が適用される部分であれば、子ども医療費助成の対象になることがありますが、具体的な扱いは自治体によって異なります。費用だけを理由に必要な受診を控える必要はありません。

一方、「今すぐ行くべきか、翌朝の診療時間まで待ってよいか分からない」という場合には、#8000を利用すると判断材料になります。


入院すると、医療費以外のお金もかかる

肺炎。RSウイルス感染症。胃腸炎。けが。手術。

小さな子どもでも、入院が必要になることがあります。入院となると、「医療費助成があるから0円」と思いたくなりますが、実際には医療費以外の支出が発生することがあります。

入院中の食事代

入院中の食事については、医療費とは別に食事療養標準負担額があります。2026年6月1日以降、一般所得者の場合は原則として、1食550円です。

1日3食なら、550円×3食=1,650円です。7日間なら、1,650円×7日=1万1,550円になります。

住民税非課税世帯などは負担額が軽減されます。また、自治体によっては子どもの入院食事代について独自助成を行っている場合もありますので確認してみましょう。

差額ベッド代

個室や少人数の病室を本人側の希望で利用した場合、差額ベッド代が必要になることがあります。

差額ベッド代は健康保険の対象外です。そのため、一般的な子ども医療費助成でも対象外となる場合があります。入院時に個室を勧められた場合は、1日いくらなのかを確認しておきましょう。数日の入院でも大きな金額になることがあります。

親の付き添いにもお金がかかる

小さな子どもの入院では、親が付き添うことがあります。そのときに発生しやすいのが、

  • 親の食事代
  • 交通費
  • 駐車場代
  • 付き添い用ベッドなどの費用
  • 日用品
  • きょうだいの預け先

などです。子どもの治療費がほとんど助成されても、付き添う親側の生活費までは医療費助成されないことが一般的です。入院が長くなるほど、こちらの負担も大きくなります。


高額な治療には高額療養費制度もある

手術や長期入院などで健康保険が適用される医療費が高額になった場合には、高額療養費制度があります。1か月の医療費の自己負担額が所得などに応じて決められた上限額を超えた場合、超過分が支給される制度です。

2026年8月から高額療養費制度の上限額が見直されています。ただし、子どもの場合は自治体の医療費助成によって、実際の窓口負担が高額療養費の上限よりかなり低くなることがあります。また、

  • 高額療養費
  • 健康保険独自の付加給付
  • 自治体の子ども医療費助成

の調整が必要になる場合があります。高額な入院治療になった場合は、加入している健康保険と自治体の双方へ確認しましょう。


慢性的な病気には別の医療費助成もある

子どもが長期的な治療を必要とする病気になった場合には、一般的な子ども医療費助成とは別の公的制度を利用できることがあります。

代表的なものが、小児慢性特定疾病医療費助成制度です。

一定の小児慢性特定疾病にかかり、病状などの要件を満たす子どもについて、治療に必要な医療費の自己負担の一部を助成する制度です。

原則18歳未満が対象。また、小さく生まれた赤ちゃんの入院治療には「未熟児養育医療」などを利用できる場合もあります。

長期治療が必要と言われた場合は、「利用できる医療費助成制度はありますか?」と、病院の相談窓口や自治体へ確認してみましょう。


病気のときに意外と大きいのが「病児保育」の費用

共働き家庭で特に困るのが、「子どもは元気ではないので保育園へ行けない。でも親も仕事を休めない」という状況です。そのようなときに利用できるのが、病児保育です。

病児保育事業では、子どもが病気で家庭での保育が難しい場合などに、病院や保育所などに設けられた専用スペースで一時的に預かります。

病児保育にはいくつか種類がある

病児保育には、主に、

病児対応型:病気の回復期には至っていないものの、症状が急変する可能性が高くない子どもを預かります。

病後児対応型:病気の回復期にあるものの、まだ集団保育が難しい子どもを預かります。

体調不良児対応型:保育中に体調を崩した子どもについて、保護者が迎えに来るまでなど、一時的に対応します。

といった形があります。

病児保育の料金は全国一律ではない

病児保育には、「全国どこでも1日○円」という統一料金はありません。自治体や施設によって、

  • 1日料金
  • 半日料金
  • 食事代
  • 登録料
  • 所得に応じた減免

などが異なります。また、利用する前に医師の診察や診療情報提供書などが必要になる場合もあり、その際の医療費や文書料が発生することもあります。

お住まいの地域で、「○○市 病児保育 料金」と検索してみましょう。子どもが病気になってから初めて探すより、元気なうちに、

  • どこにあるか
  • 何歳から使えるか
  • 事前登録が必要か
  • 予約方法
  • 利用料金
  • 何時から何時までか

を調べておくと安心です。

病児保育は必ず利用できるとは限らない

病児保育を見つけておけば、いつでも預けられるとは限りません。各施設には定員があります。また、感染症の種類や子どもの症状によっては利用できない場合があります。流行期には予約が埋まることもあります。

そのため、病児保育があるから仕事は絶対に休まなくて大丈夫とは考えず、

  • 父親が休む
  • 母親が休む
  • 病児保育を使う
  • 家族へ相談する
  • 在宅勤務ができないか確認する

など、いくつかの選択肢を用意しておくと安心です。


子どもの病気で仕事を休むなら「子の看護等休暇」

会社員などであれば、子どもが病気やけがをしたときに利用できる制度があります。

子の看護等休暇」です。2025年4月の制度改正により、対象となる子どもの年齢が、小学校3年生修了までに拡大されました。0~2歳の子どもはもちろん対象です。

子ども1人なら年5日、2人以上なら年10日

子の看護等休暇は、子どもが1人なら、1年度に5日。子どもが2人以上なら、1年度に10日まで取得できます。1日単位だけでなく、時間単位で取得することもできます。

たとえば、「午前中だけ病院へ連れて行き、午後から出社する」といった使い方もできます。

病気以外にも使える

2025年4月からは、病気やけがだけでなく、

  • 予防接種
  • 健康診断
  • 感染症に伴う学級閉鎖など
  • 入園式・卒園式・入学式

も利用できるようになりました。0~2歳の家庭では、病気の看護だけでなく、乳幼児健診や予防接種などでも利用する機会が考えられます。

注意|看護等休暇が「有給」とは限らない

ここは家計にとって重要です。子の看護等休暇を取得できることは法律で定められていますが、その時間の給与を支払うかどうかは会社によって異なります。

厚生労働省も、子の看護等休暇中の給与の有無については企業ごとに異なるため、社内規程を確認するよう案内しています。

たとえば日給換算で1万円の人が、無給の看護等休暇を5日取れば、1万円×5日=5万円分、給与が少なくなる可能性があります。

子どもの医療費そのものより、親が仕事を休んだことによる収入減の方が大きいという家庭もあるでしょう。

出産後、仕事へ復帰するときには、「子の看護等休暇は有給ですか、無給ですか?時間単位で取れますか?会社独自の有給の看護休暇はありますか?」と確認しておくことをおすすめします。

有給休暇をどのくらい残しておくかも考える

小さな子どもが集団生活を始めると、病気で休むことがあります。

発熱。胃腸炎。感染症。治ったと思って登園したら、数日後にまた別の風邪。ということもあります。

育休から復帰した直後に、「有給休暇は旅行などで全部使ってしまった」という状態だと、子どもの体調不良に対応しにくくなることがあります。

もちろん、休暇をどう使うかは家庭の自由です。ただ、0~2歳の時期には、子どもの急な病気に使うための休暇も少し残しておくという考え方もあります。


子どもの病気に備えるなら、毎月大きな「医療費」を積み立てる必要はない

子どもが病気になることを考えると、「医療費として毎月いくら貯めておけばいいのだろう」と不安になるかもしれません。しかし0~2歳の場合は、

  • 健康保険
  • 自治体のこども医療費助成
  • 高額療養費制度
  • 病気によっては別の公費負担制度

などがあります。そのため、通常の診察や薬代だけを考えれば、大きな医療費が毎月かかるケースばかりではありません。むしろ備えておきたいのは、医療費助成の対象外になる支出です。たとえば、

  • 病児保育
  • 交通費・駐車場代
  • 入院時の食事
  • 親の付き添い費用
  • 親の収入減

などです。

「子どもの病気予備費」を少し用意しておく

家計の中に、「子どもの病気・緊急費」として、数万円程度の余裕を持たせておく方法があります。毎月必ず使うお金ではありません。使わなければ、そのまま翌月へ残しておけばよいのです。

急な入院で交通費や食事代が増えた。病児保育を数日使った。仕事を休んで給与が減った。というときにも対応しやすくなります。


民間の医療保険に入る前に、公的制度を確認しよう

子どもが生まれると、「子どもにも医療保険をかけておいた方がいいのでは?」と考えることがあります。もちろん、民間保険で入院給付金などを準備する考え方もあります。

ただし、まず確認したいのは、実際に子どもの医療費をどこまで自己負担するのかです。住んでいる自治体の医療費助成によって、保険診療の自己負担がほとんどない家庭もあります。

一方、差額ベッド代や、親の付き添い費用。仕事を休んだことによる収入減などは、公的な医療費助成だけでは補えないことがあります。

民間保険を考える場合も、「病院代が怖いから、とりあえず入る」のではなく、

1.健康保険でどこまで保障されるか
2.自治体の医療費助成はどうなっているか
3.預貯金で対応できる金額はいくらか
4.それでも困る部分は何か

の順番で考えてみましょう。


子どもが元気なうちに「病気になったとき」を準備しておく

病気になってから、病院はどこ?夜はどこへ電話する?医療証はどこ?病児保育は?会社の看護休暇は?と全部調べるのは大変です。元気なときに、一度だけ確認しておきましょう。

スマートフォンのメモなどに、

かかりつけ小児科
夜間・休日の医療機関
#8000
自治体のこども医療費助成
病児保育施設
勤務先の子の看護等休暇

を書いておくだけでも十分です。いざというときの安心感が変わります。


子どもの病気は「医療費」だけで考えない

子どもが熱を出した。
病院へ連れて行く。
薬をもらう。

医療費助成を使えば、自己負担はそれほど大きくなかった。それだけなら、「子どもの病気にはあまりお金がかからない」と思うかもしれません。

けれど実際には、仕事を休む。病児保育を利用する。タクシーで病院へ向かう。付き添い入院をする。家で看病するために食事を宅配にする。など、病院の領収書には表れないお金もあります。

だからこそ、「診察代はいくら?」だけではなく、家族の生活全体でどのくらい影響があるかを考えておくことが大切です。

そして、子どもが病気になったとき、「仕事を休めない」「お金がかかるから病院へ行きにくい」という理由だけで、必要な受診や看護をためらわなくてよいように、公的な支援制度があります。

利用できる制度を知り、頼れる場所を調べ、少しだけ家計に余裕を持たせておく。それだけでも、突然の発熱やけがに慌てることは少なくなります。

子どもが小さい時期は、体調を崩すたびに心配になるものです。お金についてはあらかじめ準備できるところを整え、体調を崩したときには、まず子どもの様子を見ることに集中できるようにしておきましょう。

 

参考にした主な公的資料

  • 厚生労働省「医療費の窓口負担割合」
  • こども家庭庁「こどもに係る医療費の助成についての調査」
  • 厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • こども家庭庁「病児保育事業」
  • こども家庭庁「小児慢性特定疾病医療費助成」
  • 厚生労働省「子の看護等休暇」
  • 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」

※子どもの医療費助成、病児保育の料金・利用条件等は自治体によって異なります。具体的な自己負担額については、お住まいの自治体でご確認ください。

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