子どもにかかるお金はいくら?妊娠・出産から大学まで

第1章-8 妊婦のための支援給付とは?

妊娠が分かると、妊婦健診や出産準備など、少しずつ支出が増えていきます。そうした妊娠期の経済的な負担を軽くするために設けられているのが、「妊婦のための支援給付」です。

単胎妊娠の場合は、妊娠したときに5万円、妊娠後期以降に5万円の、合計10万円が基本となります。

ただし、自動的に振り込まれる制度ではありません。お住まいの市区町村へ申請し、「妊婦給付認定」を受けたうえで、胎児の人数を届け出る必要があります。

この記事では、妊婦のための支援給付の対象者、支給額、申請時期、以前の制度との違いについて分かりやすく解説します。

※本記事は、2026年7月16日時点のこども家庭庁の公表資料をもとに作成しています。申請方法や案内時期、支給までにかかる日数は自治体によって異なります。実際に申請するときは、お住まいの市区町村で最新情報をご確認ください。

妊婦のための支援給付とは?

妊婦のための支援給付は、妊娠・出産に伴う身体的、精神的、経済的な負担を軽くするための制度です。給付の正式な制度名が「妊婦のための支援給付」、実際に支給されるお金の名称が「妊婦支援給付金」です。

2024年度までは、各自治体が「出産・子育て応援交付金」として、妊娠届出時と出生届出後に合計10万円相当の経済的支援を行っていました。

2025年4月からは、経済的支援が子ども・子育て支援法に基づく「妊婦のための支援給付」として制度化されました。あわせて、妊娠中から出産・子育て期まで継続的に相談できる「妊婦等包括相談支援事業」も実施されています。

支給されるのは基本的に2回

妊婦支援給付金は、基本的に2回に分けて支給されます。

1回目は妊婦一人につき5万円
医療機関で妊娠が確認された後、住民票のある市区町村へ申請し、妊婦給付認定を受けると、妊婦一人につき5万円が支給されます。この制度では、医療機関によって胎児の心拍が確認されたことをもって、給付の対象となる「妊娠」と定義されています。

2回目は胎児一人につき5万円
その後、妊娠している子どもの人数を市区町村へ届け出ると、胎児一人につき5万円が支給されます。単胎妊娠であれば、1回目と2回目を合わせて合計10万円です。

双子の場合はいくら受け取れる?

双子を妊娠している場合は、次のように計算します。

– 1回目:妊婦一人につき5万円
– 2回目:胎児二人分として10万円

合計15万円です。三つ子の場合は、1回目の5万円と、胎児三人分の15万円を合わせて、合計20万円となります。1回目は妊婦の人数を基準にし、2回目は妊娠している子どもの人数を基準にする点がポイントです。

いつ申請するの?

申請の具体的な案内時期は、自治体によって異なります。一般的には、次のような流れになります。

1回目は妊娠届を出すとき
妊娠が確認されたら、市区町村へ妊娠届を提出し、母子健康手帳を受け取ります。このときに行われる面談などとあわせて、1回目の給付申請を案内されることが一般的です。

申請には、本人確認書類、振込先口座が分かるもの、医療機関による妊娠確認に関する情報などを求められる場合があります。必要書類は自治体によって違うため、案内書や公式サイトを確認しましょう。

2回目は妊娠後期以降
2回目は、出産予定日の8週間前の日以降に、胎児の人数を届け出ることで申請できます。自治体によっては、妊娠8か月ごろの面談時に申請を案内したり、出産後に出生届などとあわせて手続きを案内したりすることがあります。

制度上の申請可能時期と、自治体が実際に案内する時期が異なることもあるため、案内が届かない場合は市区町村へ確認してみましょう。

給付は自動ではない

妊婦のための支援給付は、妊娠届や出生届を提出しただけで、必ず自動的に振り込まれるものではありません。1回目は妊婦給付認定の申請、2回目は胎児の人数の届出が必要です。

申請方法には、窓口での手続き、郵送、オンライン申請などがあり、自治体によって異なります。母子健康手帳を受け取る際に渡された書類や、自治体から届く案内は、ほかの書類と分けて保管しておくと安心です。

お金はどのように受け取る?

支給方法は自治体によって異なりますが、本人名義の銀行口座への振り込みなどが一般的です。

法定給付であるため、本人が現金での受け取りを希望しているにもかかわらず、自治体の判断だけでクーポンに限定することはできません。電子クーポンや地域ポイントなど、現金以外の方法で受け取る場合は、受給者本人の同意が必要です。

自治体独自の上乗せ給付や、地域の商品券などが用意されていることもあるため、国の給付とあわせて確認してみましょう。

面談は何のために行われるの?

この制度は、お金を支給するだけではなく、妊娠中から出産後までの相談支援と一体となっています。

妊娠届を出すときや妊娠後期などに、保健師や助産師などとの面談が行われることがあります。面談では、たとえば次のようなことを相談できます。

  •  妊娠中の体調や生活
  • 出産する医療機関
  • 出産後に家事や育児を支えてくれる人
  • 産後の生活や働き方
  • 利用できる子育て支援
  • 経済的な不安
  • 里帰り出産や産後ケア
  • パートナーや家族との関係

妊娠中は、身体のことだけでなく、仕事や家計、出産後の生活など、さまざまな心配が重なりやすい時期です。給付の申請を、必要な支援につながるきっかけとしても活用できます。

以前の「出産・子育て応援ギフト」と何が違う?

2024年度までの「出産・子育て応援交付金」では、妊娠届出時と出生届出後に、それぞれ5万円相当の支援を行う仕組みでした。自治体によって、現金、クーポン、商品券など、給付方法に違いがありました。

2025年4月からは、経済的支援が法律に基づく「妊婦のための支援給付」となり、2回目の支給額は、出生した子どもの数ではなく、妊娠している胎児の数を基準に計算されます。そのため、流産や死産を経験した場合にも、一定の要件を満たせば給付の対象となります。

流産・死産の場合も対象になる

医療機関で胎児の心拍が確認された後に、流産や死産となった場合も、妊婦のための支援給付の対象です。1回目の5万円に加え、妊娠していた子どもの人数を届け出ることで、胎児一人につき5万円が支給されます。

流産や死産を経験した直後に、自分で制度を調べたり、役所へ問い合わせたりすることは、心身ともに大きな負担になることがあります。自治体の相談窓口では、給付の手続きだけでなく、心や身体についての相談にも応じています。

申請を急いで無理をする必要はありませんが、給付には期限があるため、本人が手続きをすることが難しい場合は、パートナーや家族とともに自治体へ相談してみましょう。

申請期限はある?

妊婦支援給付金には、申請や届出のできる期間があります。原則として、

  • 1回目:胎児の心拍が確認された日から2年間
  • 2回目:出産予定日の8週間前の日から2年間

が一つの目安です。ただし、期限ぎりぎりまで待つと、転居や書類不足などによって手続きが複雑になる可能性があります。自治体から案内を受け取ったら、できるだけ早めに内容を確認しましょう。

引っ越しをした場合はどうなる?

申請から支給までの間に別の市区町村へ引っ越した場合は、転入先であらためて手続きが必要になることがあります。

たとえば、1回目の給付を旧住所の自治体から受け取り、2回目の申請前に転居した場合は、転入先の自治体で妊婦給付認定の申請と胎児の人数の届出を行います。すでに受け取った金額を重ねて受給することはできませんが、未支給分については転入先で手続きできる場合があります。

妊娠中に引っ越しをする場合は、転出元と転入先の両方の自治体へ確認しておくと安心です。

出産育児一時金とは別に受け取れる

妊婦のための支援給付と、出産育児一時金は別の制度です。

  • 妊婦のための支援給付:妊娠期の身体的・精神的・経済的な負担を支える制度
  • 出産育児一時金:出産費用を支えるため、健康保険から原則50万円が支給される制度

それぞれ条件を満たせば、両方を受け取れます。また、会社員などが産休中に給与を受け取れない場合に支給される「出産手当金」とも別の制度です。制度名が似ていますが、どれか一つを受け取ると、ほかが受け取れなくなるという関係ではありません。

受け取ったお金は何に使う?

妊婦支援給付金は、妊婦健診や分娩費用だけに用途が限定された給付ではありません。たとえば、次のような支出に充てることが考えられます。

– 妊婦健診の自己負担分
– 通院交通費
– マタニティ用品
– 赤ちゃんを迎えるための準備
– 里帰り出産の交通費
– 産後ケアや家事支援
– 産休に入る前後の生活費

給付金を受け取ったら、すぐにすべてを使う必要はありません。出産直前には、医療機関への予約金や赤ちゃん用品など、まとまった支出が重なることがあります。

家計全体を見ながら、「今使うお金」と「出産後のために残しておくお金」に分けておくとよいでしょう。

自治体の案内を早めに確認しよう

妊婦のための支援給付は、単胎妊娠の場合、合計10万円を受け取れる制度です。けれど、この制度の大切な役割は、お金を支給することだけではありません。

妊娠中の不安や、出産後の生活について相談できる人とつながり、必要な支援を知るための入口でもあります。

初めての妊娠では、何を相談してよいか分からないこともあるでしょう。大きな困りごとがなくても、

「出産後、夫婦だけで育児ができるだろうか」
「産休中の家計が心配」
「里帰りをしない場合、どんな支援があるのか」

といった小さな心配を話して構いません。

給付金と相談支援を上手に利用しながら、新しい命を迎える準備を一つずつ整えていきましょう。

参考にした主な公的資料

– こども家庭庁「妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施」(CFA Japan)
– こども家庭庁「子育てに関する制度・相談窓口」(母子健康手帳情報支援サイト)
– こども家庭庁「すべてのこどもと子育てを応援」(CFA Japan)
– こども家庭庁「妊婦のための支援給付・妊婦等包括相談支援事業 自治体職員向けQ&A」(CFA Japan)
– こども家庭庁「流産・死産について知ってほしい心のケアと支援制度」(はじめよう プレコンセプションケア – こども家庭庁)

 

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