家庭でできること・習い事のお金を解説
赤ちゃんが生まれて少しすると、
「幼児教育は、いつから始めた方がいいの?」
「0歳から英語や音楽を始めている家庭もあるみたい」
「早く始めないと遅れるのでは?」
と気になることがあるかもしれません。特に、SNSなどで知育玩具や幼児教室、英語教材などの情報を目にすると、「うちも何か始めた方がいいのかな」と焦ってしまうこともあります。
けれど、0歳からの幼児教育は、必ずしも有料の教室へ通ったり、高価な教材を購入したりすることではありません。
赤ちゃんに話しかける。
一緒に絵本を見る。
歌を歌う。
公園へ出かける。
いろいろな物に触れる。
親子で遊ぶ。
こうした毎日の経験も、乳幼児期の大切な学びにつながっています。
こども家庭庁の「はじめの100か月の育ちビジョン」でも、乳幼児期には、身近な大人との安心できる関係と、豊かな「遊びと体験」が重要であるとされています。この記事では、0歳から3歳になる前までの幼児教育について、
- 0歳から幼児教育は必要なのか
- 家庭でお金をかけずにできること
- 有料の教材や教室にはどのくらい予算を考えるか
- 0歳、1歳、2歳でどのように考えればよいか
- 教育費をかけすぎないためのポイント
を分かりやすく解説します。
※本記事は、2026年8月15日時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。有料の幼児教室、教材、習い事などの料金は、内容、地域、回数などによって大きく異なります。記事内の金額は全国平均ではなく、家計の予算を考えるための目安としてご覧ください。
0歳からの「幼児教育」とは?
「幼児教育」と聞くと、英語や音楽、水泳や知育、通信教材に幼児教室などを思い浮かべる人が多いかもしれません。
もちろん、こうしたものも幼児期の経験の一つです。しかし、乳幼児期の学びは、机に向かって何かを覚えることだけではありません。文部科学省も、幼児期の教育では遊びを通した学びを重視しています。赤ちゃんや幼い子どもは、
触る・見る・聞く・動く・まねをする・何度も繰り返す
そうした経験を通して、少しずつ周囲の世界を知っていきます。
こども家庭庁も、乳幼児期の「遊びと体験」では、さまざまな大人や子ども、物、自然、絵本、場所などとの出会いが大切だとしています。つまり、幼児教育は「お金を払って受けるもの」だけではないということです。
0歳から高額な教育を始めなければならないわけではない
「教育は早い方がいい」という言葉を聞くことがあります。けれど、それを、「0歳から何か習わせなければならない」と受け取る必要はありません。
乳幼児期の子どもにとって大切なのは、大人が決めた課題を早くできるようになることだけではなく、安心できる環境の中で、自分から興味を持って遊び、さまざまなことを経験することです。
そのため、「周りの子が始めているから」「将来困らないように」という理由だけで、高額な教材や教室を急いで契約する必要はありません。まずは、その子が何に興味を示すのかを見てみましょう。
0歳からできる幼児教育は0円から
0歳から始められることの中には、ほとんどお金のかからないものがたくさんあります。たとえば、
- 赤ちゃんに話しかける
- 歌を歌う
- 手遊びをする
- 絵本を読む
- 散歩をする
- 草木や風、光に触れる
- 音の鳴る物で遊ぶ
- 身近な物を触らせる
- 親子で身体を動かす
などです。特別な教材がなくてもできる事が沢山ありますよね。
乳幼児期の遊びは、「将来○○ができるようになるため」という目的だけで行うものではありません。子ども自身が、「おもしろい」「触ってみたい」「もう一回やりたい」と思う経験そのものに意味があります。
絵本もすべて購入する必要はない
赤ちゃんに絵本を読んであげたいと思っても、次々に購入すれば本代も増えていきます。一冊1,000円前後として、毎月3冊買えば、月3,000円程度。年間では、約3万6,000円になります。
もちろん、お気に入りの絵本を家に置いて、何度も繰り返し読むことにはよさがあります。一方で、すべて購入する必要はありません。地域の図書館を利用すれば、さまざまな絵本を無料で借りることができます。
借りた中から、子どもが特に気に入ったものだけ購入する方法もあります。
地域の子育て支援施設も利用してみよう
0歳から利用できる場所として、地域子育て支援拠点や子育て支援センターなどがあります。地域子育て支援拠点は、乳幼児と保護者が気軽に集まり、親子で交流したり、子育てについて相談したりできる場所です。
公共施設や保育所など、さまざまな場所で実施されています。施設によっては、
- 絵本の読み聞かせ
- 手遊び
- 親子遊び
- 季節の工作
- 身体測定
- 子育て講座
- 他の親子との交流
などを行っています。利用料がかからないものや、材料費程度で参加できる催しもあります。内容や料金は自治体・施設によって異なるため、
「○○市 子育て支援センター」
「○○市 0歳 親子イベント」
などで調べてみましょう。民間の幼児教室を探す前に、地域で利用できる場所を知っておくのもおすすめです。
0歳からお金をかけるなら、どんな選択肢がある?
家庭での遊びや地域の施設に加え、有料サービスを取り入れる方法もあります。たとえば、
- 絵本や知育玩具
- 月齢に合わせた家庭用教材
- 親子教室
- 音楽やリズム遊び
- ベビースイミング
- 英語に触れる親子教室
などがあります。料金はサービスによって大きく異なります。大切なのは、「0歳だからこの教育が必要」ではなく、「親子で楽しめるか」「無理なく続けられるか」で考えることです。
家庭用教材|月数千円から考える
家庭で使う幼児向け教材には、
- 絵本
- カード
- 音声
- 動画
- 知育玩具
- ワーク
- 親向けの子育て情報
などを組み合わせたものがあります。買い切り型もあれば、毎月教材が届くタイプもあります。費用を考えるときは、月額だけを見るのではなく、
- 入会金
- 毎月の料金
- 年間払い
- 途中解約の条件
- 追加教材
- 専用端末
- 兄弟で使えるか
まで確認しましょう。たとえば、教材費として毎月3,000円使えば、3,000円×12か月=年間3万6,000円です。月5,000円なら年間6万円になります。月額では小さく見えても、何年間続けるかまで考えることが大切です。
親子教室|月謝以外の費用も確認
0歳から参加できる親子教室もあります。赤ちゃんと保護者が一緒に、
- 身体を動かす
- 音楽を楽しむ
- 絵本を見る
- 手遊びをする
- 簡単な知育遊びをする
といった内容です。月謝は教室や回数によって異なり、月数千円程度から1万円を超えるものまで幅があります。ただし、月謝以外にも、入会金・教材費・年会費・施設費・イベント代が必要になる場合があります。
「月謝6,000円」と書いてあっても、年間総額は6,000円×12か月だけとは限りません。契約前に一年間でいくらかかるかを確認しましょう。
水泳・音楽・英語なども費用だけで決めない
乳幼児向けには、水泳、音楽、英語などさまざまな教室があります。これらも、「将来○○が得意になるため」だけでなく、親子で楽しい時間を過ごせる場所として利用する考え方があります。
たとえば水泳なら、月謝の他に、水着・水泳帽・タオル・交通費がかかります。
音楽系の教室なら、月謝の他に教材費・楽器や道具・発表会費などが加わることもあります。
英語教室でも、月謝の他に教材・音声・映像教材・イベントなど、料金体系はさまざまです。
比較するときは「月謝」だけではなく、一年間の総額で比べるのがおすすめです。
0歳|「教える」より、一緒に楽しむ
0歳では、何かを覚えさせることより、
- 話しかける
- 見つめ合う
- 歌う
- 絵本を見る
- 抱っこで外へ出る
- 音や手触りを楽しむ
など、親子でさまざまな経験をすることを大切にしたい時期です。
この時期は、家にある物や図書館、地域の子育て支援施設だけでも、多くの体験ができます。有料の教室を利用する場合も、「成果が出るか」より、「親子で楽しく過ごせるか」を基準に選んでもよいでしょう。
1歳|「自分でやりたい」が増えてくる
1歳ごろになると、【歩く・触る・入れる・出す・積む・まねをする】など、できることが一気に増えてきます。
この時期は、身近な物そのものが教材になることもあります。【容器に物を入れて出す・積み木を積む・紙を破る・水を触る・公園を歩く】など、大人にとっては何でもないことでも、子どもにとっては新しい発見です。
「知育玩具をたくさん買わなければ」と考えるより、子どもが今何に興味を持っているかを見ることが大切です。
1歳から習い事を始めても、始めなくてもよい
1歳になると、参加できる習い事の種類も増えてきます。ただし、「1歳になったから何か一つ習わせよう」と決める必要はありません。
人見知りが強い子。身体を動かすのが好きな子。音楽が好きな子。家でじっくり遊ぶのが好きな子。
子どもによって違います。無料体験や単発の親子講座などがあれば、いきなり年間契約をする前に試してみる方法もあります。
2歳|興味の違いが少しずつ見えてくる
2歳になると、言葉が増え、好きなものも分かりやすくなってきます。
乗り物が大好き・歌を何度も歌う・ボール遊びが好き・絵本ばかり見ている・絵を描くのが好き
子ども自身の興味が少しずつ見えるようになります。有料の習い事を考えるなら、親が「将来役に立ちそう」と思うものだけでなく、子どもが楽しんでいることを広げるという選び方もできます。
「嫌がっているけれど将来のために」は一度考えてみよう
月謝を払っていると、「せっかくお金を払っているのだから」「ここでやめたらもったいない」と思うことがあります。しかし、0~2歳は体調や気分、発達によって反応が大きく変わる時期です。
毎回激しく嫌がる。教室へ行くこと自体が親子の負担になっている。送迎のために生活リズムが崩れる。
こうした状態なら、一度休んだり、やめたりすることも選択肢です。幼児期の習い事は、「始めたら何年も続けなければならない契約」と考えなくてもよいでしょう。
幼児教育には全国一律の平均費用がない
「0歳の教育費は、平均いくらなのだろう」と検索する人もいるでしょう。
しかし、文部科学省が実施する「子供の学習費調査」は、幼稚園、小学校、中学校、高等学校に通う子どもの教育費などを調べるもので、0~2歳児について同じ形で全国平均を示している調査ではありません。
そのため、「0歳児の幼児教育費は全国平均○万円」と一つの数字で考えるのは難しいところです。
家庭で何も有料サービスを利用しなければ、ほとんど0円でもできます。反対に、複数の教室へ通い、高額な教材を購入すれば、月数万円以上になることもあります。家庭による差がとても大きい費用です。
家計では3段階くらいで考えると分かりやすい
幼児教育費を考えるときは、平均を探すより、自分たちがどのくらいの予算を使えるかを考えてみましょう。たとえば、
月0~3,000円程度
- 図書館を利用する
- 地域の子育て支援施設を利用する
- ときどき絵本やおもちゃを購入する
- 自宅や公園で親子遊びを楽しむ
月3,000~1万円程度
- 家庭用教材を一つ利用する
- 月数回の親子教室へ参加する
- 絵本や知育玩具の購入費を決めておく
月1万円以上
- 定期的な習い事へ通う
- 複数の教室を利用する
- 教材と習い事を組み合わせる
というように、家計に合わせて枠を決めます。これは「この金額を使うべき」という基準ではありません。使える教育費の上限を先に決めるための考え方です。
月5,000円でも3年間では18万円
幼児教育費は、毎月の金額だけを見るとそれほど大きく感じないことがあります。しかし、月5,000円を3年間続ければ、
5,000円×36か月=18万円です。月1万円なら、1万円×36か月=36万円になります。
さらに、【入会金・教材費・発表会・交通費・専用の衣類や道具】などがあれば、その分も加わります。「月々なら払える」だけでなく、一年間ではいくらか?何年間続ける予定か?まで考えておきましょう。
習い事の「隠れた費用」にも注意
習い事を検討するときは、月謝以外の費用も確認しましょう。たとえば、
- 入会金
- 年会費
- 教材費
- 施設維持費
- ユニフォーム
- 道具
- 発表会費
- 写真・動画代
- 交通費
- 駐車場代
などです。また、費用として数字には出にくいものに、保護者の時間があります。片道30分の教室へ週1回通えば、往復だけで毎週1時間です。着替えや準備、待ち時間まで含めれば、さらに時間が必要です。
幼い子どもの習い事は、親の負担も含めて続けられるかを考えましょう。
幼児教育・保育の無償化とは別の話
「幼児教育・保育の無償化」という制度があるため、「幼児教育なら、習い事も無料になるの?」と思うかもしれません。
しかし、国の幼児教育・保育の無償化は、一定の幼稚園、保育所、認定こども園、認可外保育施設などの利用料を対象とする制度です。民間の英語教室や音楽教室、一般的な知育教材などが、一律に無料になる制度ではありません。
また、0~2歳児については、保育所等の利用料が全国すべての家庭で無償になるわけではなく、国の制度では住民税非課税世帯が無償化の対象です。保育料については、第二章の記事「0歳から2歳の子どもを預ける方法と費用」で詳しく解説します。
高額な教材を契約するときは「総額」を見る
幼児向け教材の中には、数年分をまとめて購入するタイプもあります。その場合、「1日当たりにすると○○円」「月に換算すると○○円」という説明だけで判断しないようにしましょう。確認したいのは、
- 契約総額
- 分割払いの総支払額
- 途中でやめられるか
- 解約時に返金されるか
- 子どもが使わなかった場合どうなるか
- 追加購入が必要か
です。赤ちゃんが実際に気に入るかどうかは、購入前には分からないこともあります。
特にまとまった金額になるものは、「今契約しないと遅れる」という気持ちだけで決めず、一度家計全体を見てから考えましょう。
教育費をかける前に、生活費と貯蓄も確認する
0~2歳は、
- 育休による収入減
- おむつやミルク
- 保育料
- 住民税
- 住宅費
- 将来の教育費の準備
など、家計が大きく変わる時期です。幼児教育も大切ですが、毎月の生活が苦しくなるほど費用をかける必要はありません。
たとえば、「月1万円の幼児教室へ通わせながら、生活費が足りず貯金を取り崩している」のであれば、一度優先順位を見直してもよいでしょう。この時期にしかできない教育は、有料サービスだけではありません。
お金をかける順番を決めてみよう
幼児教育にお金を使うなら、次の順番で考えると分かりやすくなります。
1.家庭でできることを楽しむ 絵本、会話、歌、散歩、遊びなど。
2.地域の無料・低額サービスを調べる 図書館、子育て支援拠点、児童館など。
3.子どもの興味を観察する 身体を動かすのが好きなのか、音楽なのか、絵本なのか。
4.必要なら一つだけ有料サービスを試す 最初から複数始めず、親子に合うか確認する。
5.数か月ごとに見直す 楽しんでいるか、家計の負担になっていないかを確認する。
これなら、「周りがやっているから」という理由だけで教育費が増えていくことを防ぎやすくなります。
きょうだいが増えると教育費も倍になる可能性がある
第1子のときは月1万円の習い事を無理なく払えても、第2子、第3子が生まれると状況が変わります。
子ども2人なら月2万円。年間24万円。3人なら月3万円、年間36万円です。さらに年齢が上がれば、塾や部活動、受験などにもお金がかかります。
幼児期から教育費を考えるときは、「この子一人なら払えるか」ではなく、「将来きょうだいが増えても続けられるか」という視点も持っておくとよいでしょう。
「何歳から始めたか」を競わなくていい
0歳から英語。1歳から水泳。2歳から音楽・・・周りの家庭の話を聞くと、「何もしていないのは、うちだけかもしれない」と不安になることがあります。
けれど、子どもの育ちは一人ひとり違います。幼児期の子どもにとって大切なのは、習い事の数ではありません。
安心できる大人がそばにいて、好きなことに夢中になり、いろいろな物や人や自然と出会い、「やってみたい」と思える経験を重ねることです。
こども家庭庁も、「はじめの100か月」の育ちにおいて、安心できる関係を土台に、豊かな遊びと体験を重ねることを重視しています。
幼児教育は、早く始めた家庭が勝つ競争ではありません。
高い教材より、目の前の子どもを見る
赤ちゃんが一枚の葉っぱをずっと触っている。
同じ絵本を何度も持ってくる。
積み木を積んでは壊す。
水たまりをいつまでも眺めている。
大人から見ると、「それの何がそんなに面白いの?」と思うこともあります。でも、子どもにとっては、そうした一つひとつが新しい世界との出会いです。
高価な教材がなければ学べないわけではありません。習い事をしていなければ成長できないわけでもありません。
家計に余裕があり、親子で楽しめそうなら、有料の教材や教室を利用するのもよいでしょう。一方、今はそこへお金をかけないという選択も、決して「何もしていない」ことにはなりません。
毎日の会話や絵本。散歩。家族で一緒に笑う時間。
子どもが興味を持ったものを、大人も一緒に面白がること。0歳からの幼児教育を考えるときは、まずそんな身近なところから始めてみてはいかがでしょうか。
お金をかけることと、豊かな経験を与えることは、必ずしも同じではありません。
子どもの「これ、なに?」「やってみたい」が少しずつ芽生えていく時間を、家計に無理のない形で一緒に楽しんでいきましょう。
参考にした主な公的資料
- こども家庭庁「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なビジョン(はじめの100か月の育ちビジョン)」
- こども家庭庁「地域子育て支援拠点事業について」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援新制度」
- こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」
- 文部科学省「幼児教育の重要性・遊びを通した学び」
- 文部科学省「子供の学習費調査」
※有料の教材や幼児教室、習い事などの料金は内容・地域・利用回数によって大きく異なるため、特定の民間企業・サービスの料金は掲載せず、家計を考えるための予算例として記載しています。
「0歳 幼児教育」「0歳 習い事 費用」「幼児教育 費用」「赤ちゃん 教育費」「1歳 習い事」「2歳 習い事」「幼児教育 いつから」「知育 費用」「0歳 教材」
