赤ちゃんが生まれたら、まずは無事に生まれてきてくれたことを喜び、ゆっくり家族の時間を過ごしたいものです。
けれど、出産後には、期限の決まっている手続きがいくつかあります。出生届。健康保険への加入。児童手当。こどもの医療費助成。さらに、自治体によっては赤ちゃん訪問のための出生連絡なども必要です。
産後の身体で、赤ちゃんのお世話をしながら、「何を、いつまでに、どこへ出せばいいの?」と一つずつ調べるのは、思っている以上に大変です。
できれば妊娠中から、夫婦や家族で手続きの担当を決めておきましょう。
この記事では、赤ちゃんが生まれた後に行う主な手続きを、期限の早いものから順番に整理します。
※本記事は、2026年8月15日時点で確認できる国・自治体等の公表情報をもとに作成しています。必要書類や申請方法、こども医療費助成などの内容は自治体や加入している健康保険によって異なります。実際の手続きでは、お住まいの市区町村、勤務先、加入している健康保険などの最新情報をご確認ください。
赤ちゃんが生まれたら、まず確認したい手続き
出産後の主な手続きと期限を大まかに整理すると、次のようになります。
出生届→ 生まれた日から14日以内
健康保険への加入
→ 会社員などの健康保険の扶養に入れる場合は、原則として事実発生から5日以内に勤務先を通じて手続き
→ 国民健康保険へ加入する場合は、原則14日以内
児童手当→ 出生日の翌日から15日以内を目安に申請
こども医療費助成→ 自治体ごとに手続き。健康保険の加入後、できるだけ早めに申請
出生連絡票・赤ちゃん訪問など→ 自治体によって方法や期限が異なるため確認
すべてを同じ日に済ませなければならないわけではありません。まずは期限のあるものから順番に進めましょう。
1.出生届は生まれた日から14日以内
赤ちゃんが生まれたら、最初に必要となる重要な手続きが「出生届」です。出生届を提出することで、赤ちゃんが戸籍や住民票に記載されます。出生届の期限は、生まれた日から14日以内です。14日目が市区町村の休日にあたる場合は、原則として翌開庁日までとなります。
出生届はどこへ提出する?
一般的には、次のいずれかの市区町村へ提出できます。
- 赤ちゃんが生まれた場所
- 父母の本籍地
- 届出人の所在地
たとえば、里帰り出産をしている場合は、出産した地域の市区町村へ提出することもできます。ただし、児童手当やこども医療費助成などは、原則として住民票のある自治体で手続きします。出生届を里帰り先で提出する場合は、その後に必要な手続きがどこでできるのかも確認しておきましょう。
出生届に必要なもの
一般的には、
- 出生届
- 医師や助産師が記入した出生証明書
- 母子健康手帳
などを用意します。出生届と出生証明書は一枚につながった様式になっていることが多く、出産した病院や助産所から渡されます。受け取ったら、なくさないよう大切に保管しておきましょう。
赤ちゃんの名前の「フリガナ」も戸籍に記載される
2025年5月26日から、戸籍に氏名のフリガナを記載する制度が始まりました。そのため、2026年に生まれた赤ちゃんは、出生届に記載した名前だけでなく、そのフリガナも戸籍に記載されます。
フリガナは、「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているもの」である必要があります。一般的な読み方かどうか判断できない場合には、辞典や書籍など、読み方の根拠となる資料の提出を求められることがあります。
赤ちゃんの名前を考えるときは、漢字だけでなく「戸籍上どのような読み方にするか」まで夫婦で確認しておきましょう。
出生届はオンラインで出せる自治体もある
出生届は、市区町村の窓口へ持参する方法だけではありません。
2024年8月から、条件を満たす場合には、マイナポータルを利用して出生届をオンライン提出できる仕組みが始まっています。ただし、利用するには、生まれた子の親の本籍地の市区町村がオンライン提出に対応していることなどの条件があります。
すべての自治体で一律に利用できるわけではないため、出産前に本籍地の自治体やマイナポータルで確認しておくとよいでしょう。
2.赤ちゃんを健康保険へ加入させる
出生届を提出したら、赤ちゃんの健康保険の手続きも早めに行います。
赤ちゃんも、病気やけがで医療機関を受診する可能性があります。特に生まれて間もない時期は、黄疸や発熱、体重の増え方などによって受診が必要になることもあります。健康保険の手続きは後回しにせず、できるだけ早く進めましょう。
会社員などの健康保険へ扶養として入れる場合
父親または母親が会社の健康保険へ加入している場合は、原則として赤ちゃんをどちらかの健康保険の被扶養者として加入させます。協会けんぽの場合、「健康保険 被扶養者(異動)届」を勤務先を通じて提出します。
被扶養者を追加するときの届出時期は、原則として事実発生から5日以内とされています。夫婦とも会社員で、それぞれ別の健康保険に加入している場合は、原則として年間収入の多い方の被扶養者として認定されます。
ただし、健康保険組合によって必要書類や認定方法が異なることがあります。出産前に勤務先へ、「子どもが生まれたら、健康保険の手続きには何が必要ですか?」と確認しておくと安心です。
国民健康保険へ入る場合
父母が国民健康保険へ加入していて、赤ちゃんも国民健康保険へ加入する場合は、住民票のある市区町村で手続きをします。
自治体では、出生から14日以内の届出を案内しているのが一般的です。たとえば大阪市でも、子どもが生まれた場合の国民健康保険加入は14日以内と案内しています。出生届と同じ日に手続きできる自治体もあります。
窓口へ行く場合は、出生届、健康保険、児童手当、医療費助成などを一度に済ませられるか確認しておくと、何度も役所へ行かずにすみます。
2026年は「従来の健康保険証」は発行されない
ここは、少し注意しておきたいところです。以前は、赤ちゃんの健康保険加入手続きをすると、赤ちゃんの「健康保険証」が発行されていました。しかし、従来の健康保険証は2025年12月1日で有効期限が終了しています。
2026年8月時点では、医療機関を受診するときは、マイナ保険証または、資格確認書を使う仕組みになっています。
そのため、昔の子育て情報に書かれている、「赤ちゃんの健康保険証が届いたら……」という説明は、現在の制度とは少し異なります。赤ちゃんの健康保険への加入そのものは必要ですが、その後に利用するのはマイナ保険証または資格確認書だと覚えておきましょう。
3.児童手当は出生日の翌日から15日以内に申請
赤ちゃんが生まれたら、児童手当の申請も忘れないようにしましょう。児童手当は、自動的に振り込まれる制度ではありません。
原則として、住民票のある市区町村へ申請します。公務員の場合は、原則として勤務先へ申請します。児童手当は、原則として申請した月の翌月分から支給されます。
ただし、月末近くに赤ちゃんが生まれた場合には特例があり、出生日の翌日から15日以内に申請すれば、申請が翌月になっても、出生月の翌月分から受け取ることができます。
申請が遅れると、原則として遅れた月分の児童手当は受け取れません。「出生届を出したから、児童手当も自動的に始まる」と思わないよう注意しましょう。児童手当の支給額や支給時期については、次の記事「児童手当はいつからいくらもらえる?」で詳しく解説します。
4.こども医療費助成の申請
赤ちゃんの健康保険への加入が済んだら、自治体の「こども医療費助成」も確認しましょう。
こども医療費助成は、子どもが病院や薬局を利用したときの自己負担を、自治体が助成する制度です。2024年度のこども家庭庁の調査では、すべての都道府県と市区町村が、何らかのこども医療費助成を実施していました。ただし、
- 何歳まで対象になるか
- 自己負担があるか
- 所得制限があるか
- 入院時の食事代が対象になるか
- 県外で受診した場合どうなるか
などは、自治体によって異なります。こども家庭庁も、助成対象年齢や内容は自治体ごとに異なるため、住んでいる自治体で確認するよう案内しています。
健康保険と医療費助成は別の手続き
ここは、初めての子育てでは少し分かりにくいところです。赤ちゃんが健康保険へ加入しただけでは、自治体のこども医療費助成まで自動的に使えるとは限りません。一般的には、
健康保険への加入手続き
↓
保険資格を確認できる情報を用意
↓
自治体へこども医療費助成を申請
という流れになります。
自治体によっては、マイナンバーを利用して資格確認できる場合や、オンライン申請に対応している場合もあります。出産前に自治体のホームページで「こども医療費助成」「乳幼児医療費助成」などと検索しておきましょう。
子どもの医療費については、第二章の「子どもが病気になったときにかかるお金」でも詳しく解説します。
5.赤ちゃんのマイナンバーは出生届で自動的に作られる
赤ちゃんにもマイナンバーが付与されます。ただし、「赤ちゃんのマイナンバーを取得するための申請」を別に行う必要はありません。
出生届を提出して住民票が作成されると、マイナンバーも自動的に作成されます。その後、個人番号通知書が住民票の住所へ届きます。
マイナンバーとマイナンバーカードは別
ここも混同しやすいところです。マイナンバーは、出生届を提出すれば自動的に付与されます。一方、マイナンバーカードは、希望する場合に申請して作成するカードです。
2024年12月2日以降、申請時に1歳未満の赤ちゃんのマイナンバーカードには、顔写真が付かない仕組みになっています。また、自治体によっては出生届と同時にマイナンバーカードの交付申請を行えます。神戸市などでは、出生届と同時に申請すると、後から申請するより手続きが簡単になると案内しています。
赤ちゃんのマイナンバーカードを健康保険証として使いたい場合は、カードを作成したうえで健康保険証利用登録を行います。
6.出生連絡票や赤ちゃん訪問の手続きを確認
自治体によっては、出生届とは別に、「出生連絡票」「新生児出生連絡票」などを提出する仕組みがあります。
母子健康手帳に、はがきや届出用紙が付いている場合もあります。これは、自治体が赤ちゃんの誕生を把握し、新生児訪問や乳児家庭全戸訪問などにつなげるためのものです。
こども家庭庁の案内では、新生児訪問では出産後28日以内を目安に助産師などが家庭を訪問し、母親の体調や赤ちゃんの発育を確認します。また、「乳児家庭全戸訪問」では、生後4か月までの赤ちゃんがいる家庭を訪問し、子育てに必要な情報提供や相談支援などを行います。
自治体によって、出生届を出せば自動的に案内される場合と、別途連絡が必要な場合があります。母子健康手帳や自治体から渡された書類を確認してみましょう。
小さく生まれた赤ちゃんには別の支援があることも
赤ちゃんが小さく生まれ、入院して治療を受ける場合には、「未熟児養育医療」の対象になることがあります。これは、身体の発育が未熟な状態で生まれ、入院して養育を受ける必要がある赤ちゃんについて、医療費を助成する制度です。
該当する場合は、医療機関や自治体から案内されることがあります。出生後すぐに入院が続くと、手続きを調べる余裕がないこともあるため、病院の医療ソーシャルワーカーや自治体の窓口へ相談しましょう。
働いている人は勤務先への連絡も忘れずに
父親、母親のどちらか、または両方が会社員の場合は、役所だけでなく勤務先での手続きもあります。たとえば、
- 健康保険の扶養追加
- 育児休業の手続き
- 出生時育児休業・産後パパ育休
- 育児休業給付
- 出生後休業支援給付
- 会社独自の家族手当
- 慶弔金や出産祝い金
などです。会社独自の制度には申請期限が設けられていることもあります。就業規則や福利厚生制度も確認しておきましょう。育休中にもらえるお金や、父親が育休を取得した場合の給付については、第二章の別の記事で詳しく解説します。
出産前に「誰が手続きするか」を決めておこう
出産後は、母親の身体がまだ回復していない時期です。赤ちゃんのお世話も24時間始まります。
その時期に、「出生届はどこ?」「児童手当はどうする?」「会社には何を出せばいい?」と一から調べるのは大変です。できれば出産前に、
父親・パートナーが担当するもの
母親本人でなければできないもの
勤務先へ提出するもの
に分けておきましょう。父親やパートナーが役所へ行く予定なら、必要な書類や本人確認書類、口座情報なども一緒に確認しておくと安心です。
役所へ行く前に「出生後の手続き」を検索しよう
自治体によっては、出生届を出すと、「次は○番窓口へ行ってください」と案内してもらえます。一方で、手続きする部署が複数の階や建物に分かれている場合もあります。出産前に、
「○○市 出生後 手続き」
「○○市 赤ちゃん 生まれた 手続き」
などで検索してみましょう。自治体によっては、
- 出生届
- 児童手当
- こども医療費助成
- 国民健康保険
- 赤ちゃん訪問
- 出産後の給付
などを一つのページにまとめています。オンラインで申請できる手続きが増えていることもあります。
赤ちゃんが生まれた直後の手続きチェック
最後に、主な手続きをもう一度整理します。
生まれたらすぐ確認
- 出生届を用意する
- 出生証明書を病院から受け取る
- 母子健康手帳を確認する
- 勤務先へ出産したことを連絡する
14日以内を目安に
- 出生届を提出する
- 健康保険へ加入する
- 国民健康保険の場合は自治体で加入手続きをする
- 自治体の出生連絡票などを確認する
出生日の翌日から15日以内を意識
- 児童手当を申請する
健康保険の手続き後、早めに
- こども医療費助成を申請する
- マイナ保険証または資格確認書を確認する
あわせて確認
- 赤ちゃんのマイナンバーカードを作るか
- 新生児訪問・赤ちゃん訪問の案内
- 勤務先の育休・給付金
- 会社独自の出産祝い金や家族手当
手続きは、新しい家族の暮らしを支える最初の準備
赤ちゃんが生まれた直後は、喜びと同時に、これまでとはまったく違う生活が始まります。寝る時間も、食事の時間も、自分たちの予定どおりにはいかなくなるかもしれません。そんな中で役所や会社の手続きまで重なると、つい面倒に感じてしまうこともあるでしょう。
けれど、一つひとつの手続きの先には、赤ちゃんが安心して医療を受けるための制度があり、家族の暮らしを支えてくれる給付があり、子育てを一緒に支えてくれる地域とのつながりがあります。
全部を完璧に覚えておく必要はありません。期限のあるものだけを先に確認し、家族で役割を分けながら、一つずつ進めていきましょう。赤ちゃんの誕生とともに始まるたくさんの手続きも、新しい家族の暮らしを整えていく最初の一歩です。
参考にした主な公的資料
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- こども家庭庁「こどもに係る医療費の助成についての調査」
- こども家庭庁「母子健康手帳情報支援サイト」
- 日本年金機構「従業員が家族を被扶養者にするときの手続き」
- 厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
- デジタル庁「マイナポータルから、出生届のオンライン提出ができる機能をリリースしました」
- デジタル庁「よくある質問:マイナンバーについて」
「赤ちゃん 生まれた 手続き」「出産後 手続き」「出生届 14日以内」「赤ちゃん 健康保険 手続き」「赤ちゃん 児童手当 申請」「赤ちゃん マイナンバーカード」「出生後 手続き 一覧」
