知らないともらえない給付・助成を見つけよう
子どもが生まれると、児童手当やこども医療費助成など、さまざまな子育て支援を利用できるようになります。
ところが、子育て支援には大きく分けて、全国共通の制度と、自治体独自の制度があります。
児童手当のように全国共通の制度であれば、基本的な仕組みはどこに住んでいても同じです。一方、
- おむつや育児用品への助成
- 子育て世帯への独自給付
- 医療費助成
- 産後ケア
- 一時預かり
- 家事・育児支援
- 多子世帯への支援
- 子育て家庭向けの割引・優待
などは、住んでいる自治体によって内容が異なります。
隣の市にはあるのに、自分の市にはない。反対に、自分の自治体には便利な制度があるのに、知らずに使っていなかった。そんなこともあります。しかも、支援制度の中には、自分から申請しなければ受けられないものも少なくありません。
この記事では、自治体の子育て支援はどこで調べるのか?どんな言葉で検索すればよいのか?オンラインで手続きを探す方法や相談できる窓口などを、順番に解説します。
※本記事は、2026年8月15日時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。自治体独自の制度は、対象者、金額、申請期限、所得要件などが変更される場合があります。実際に利用するときは、お住まいの自治体の最新情報をご確認ください。
なぜ自治体によって子育て支援が違うの?
子育て支援には、国が全国共通で実施する制度だけでなく、市区町村が地域の実情に応じて行う事業があります。
こども家庭庁も、「地域子ども・子育て支援事業」について、教育・保育施設を利用する家庭だけでなく、在宅で子育てをする家庭も含め、市町村が地域の実情に応じて実施する仕組みとしています。
そのため、人口が多い都市部と子どもの人数が少ない地域。共働き家庭が多い地域と移住者を増やしたい地域。それぞれで、必要とされる支援も変わります。同じ「子育て支援」という名前でも、
対象年齢・所得制限・支給額・利用できる回数・自己負担額
などが自治体によって違うことがあります。
まずは自治体の公式ホームページを見る
最初に確認したいのは、住んでいる市区町村の公式ホームページです。検索サイトで、「○○市 子育て支援」と検索してみましょう。
多くの自治体には、「子育て」「妊娠・出産」「子ども・家庭」といった専用ページがあります。そこから、
- 妊娠・出産
- 0歳児
- 乳幼児健診
- 予防接種
- 医療費助成
- 保育
- 一時預かり
- 手当・助成
- 子育て相談
などへ分かれていることがあります。最初から制度名を知っている必要はありません。まず「子育て支援」の入口ページを探してみましょう。
「子育て支援」だけで見つからなければ検索語を変える
自治体の制度は、名称だけでは内容が分かりにくいことがあります。
たとえば、「乳幼児応援事業」「子育て家庭支援事業」「すくすく応援事業」など、自治体独自の名称が付けられていることがあります。
制度名を知らない場合は、目的から検索するのがポイントです。たとえば、
おむつ代が気になるなら、「○○市 おむつ 助成」
医療費なら、「○○市 子ども 医療費」
赤ちゃんを少し預けたいなら、「○○市 0歳 一時預かり」
産後の家事が大変なら、「○○市 産後 家事支援」
と検索します。
調べておきたい検索キーワード
0~2歳の子どもがいる家庭なら、次のような言葉を一度検索してみるとよいでしょう。
お金に関する支援
- ○○市 子育て 給付金
- ○○市 子育て 助成
- ○○市 出産 給付
- ○○市 おむつ 助成
- ○○市 多子世帯 支援
医療・健康
- ○○市 こども医療費助成
- ○○市 乳幼児医療
- ○○市 乳幼児健診
- ○○市 予防接種
子育ての負担を軽くする支援
- ○○市 一時預かり
- ○○市 産後ケア
- ○○市 家事支援 子育て
- ○○市 訪問支援
- ○○市 子育てヘルパー
親子で利用できる場所
- ○○市 子育て支援センター
- ○○市 地域子育て支援拠点
- ○○市 児童館 0歳
- ○○市 赤ちゃん イベント
「制度名を知らないから探せない」のではなく、困っていることをそのまま検索語にすると見つけやすくなります。
「ぴったりサービス」で地域の手続きを検索する
自治体のホームページだけでは見つけにくい場合に利用できるのが、マイナポータルの「ぴったりサービス」です。ぴったりサービスでは、地域を指定して、
- 子育て
- 妊娠・出産
- 各種届出
などの行政手続きを検索できます。一部の手続きは、オンライン申請にも対応しています。利用するときは、
地域を選ぶ
↓
子育て関連の手続きを検索
↓
対象者や必要書類を確認
↓
対応していればオンライン申請
という流れです。自治体によってオンライン申請できる手続きは異なります。「役所へ行かなければ」と思う前に、オンラインでできないか確認してみましょう。
「こども家庭センター」に相談する
「いろいろ制度を見たけれど、自分が何を使えるのか分からない」という場合は、自治体のこども家庭センターへ相談する方法があります。
こども家庭センターは、市区町村の母子保健と児童福祉の機能を一体化し、妊産婦や子育て家庭、子どもからの相談に対応するための窓口です。たとえば、
「赤ちゃんのお世話が大変で、少し休みたい」
「一時的に子どもを預けたい」
「産後に家事を手伝ってもらえる制度はある?」
「経済的に厳しい」
「どこへ相談すればよいのか分からない」
といった場合にも、利用できる地域の支援につないでもらえる可能性があります。
昔の情報では「子育て世代包括支援センター」という名称が使われている場合がありますが、2024年4月以降は、こども家庭センターへの移行が進められています。自治体によって窓口の名称が異なる場合もあるため、「○○市 こども家庭センター」で検索してみましょう。
子育て支援センターと、こども家庭センターは違う
名称が似ているため、少し分かりにくいところです。
こども家庭センター:妊娠、出産、子育て、家庭に関する幅広い相談を受け、必要な支援へつなぐ自治体の相談機能です。
地域子育て支援拠点・子育て支援センター:乳幼児と保護者が集まり、交流したり、子育て相談をしたりできる場所です。地域子育て支援拠点では、親子の交流の場の提供や、子育てに関する相談・援助、地域の子育て関連情報の提供などが行われます。
「制度について相談したい」のか、「赤ちゃんと一緒に遊びに行きたい」のか、目的によって利用する場所を選びましょう。
一人で調べるより、支援センターで聞いた方が早いこともある
自治体の制度は、ホームページだけを見ていると分かりにくいことがあります。たとえば、
「一時預かりがあるのは分かったけれど、0歳でも使えるの?」
「保育園へ行っていなくても利用できる?」
「予約はいつから?」
という細かいところまでは、探しにくいことがあります。そんなときは、地域の子育て支援センターや自治体の窓口で、「0歳の子どもがいるのですが、利用できる支援にはどんなものがありますか?」と聞いてみてもるとよいでしょう。自分では検索していなかった制度を教えてもらえることもあります。
2026年度から「こども誰でも通園制度」も全国実施
0~2歳の家庭が確認しておきたい制度の一つが、こども誰でも通園制度です。この制度は、2026年度から全国の自治体で本格実施されています。
対象は原則として、保育所・認定こども園・幼稚園などに通っていない、0歳6か月から満3歳未満の子どもです。保護者が働いているかどうかを問わず利用できることが大きな特徴です。
2026年度は原則として月10時間の範囲で利用できる仕組みですが、経過措置により自治体によって利用可能時間が異なる場合があります。
「保育園に入れるほどではないけれど、時々ほかの子どもと過ごす経験をさせたい」「数時間だけ預けたい」
という家庭にも関係する制度です。お住まいの自治体の利用条件、実施施設、利用料などを確認してみましょう。
保育施設を探すなら「ここdeサーチ」
保育所や認定こども園などを探したい場合は、「ここdeサーチ」という全国共通の公的な検索システムもあります。全国の教育・保育施設などについて、
- 住所
- 教育・保育内容
- 利用定員
- 実費徴収額
などを確認できます。引っ越し先で保育施設を探したり、一時利用できる施設を確認したりするときにも役立ちます。ただし、実際の空き状況や申込期限などは自治体・施設へ確認しましょう。
保育料や預け先については、第二章の記事「2歳までの子どもを預ける方法と費用」で詳しく解説します。
一時預かりや訪問支援も自治体で確認する
自治体では、保育園へ毎日通う家庭だけでなく、在宅で子育てをしている家庭を対象とした支援も実施しています。たとえば「一時預かり事業」は、家庭での保育が一時的に難しくなった場合や、保護者の育児負担を軽くする必要がある場合などに、乳幼児を一時的に預かる事業です。
また、自治体によっては、支援が必要な家庭へ訪問支援員が出向き、家事や育児を支援する「子育て世帯訪問支援事業」なども実施されています。
「自分は仕事をしていないから預けられない」
「専業で子育てしているから支援は使えない」
と決めつけず、利用条件を確認してみましょう。
子育て支援パスポートも調べてみよう
自治体によっては、子育て家庭に「子育て支援パスポート」などを発行し、協賛する店舗や施設でサービスを受けられる仕組みがあります。
こども家庭庁による全国共通展開が行われており、全国の自治体の制度を確認できます。内容は地域や利用先によって異なりますが、
- 割引
- 特典
- 子育て家庭向けサービス
などが提供される場合があります。日常的な買い物や外出で使えるものもあるため、「○○県 子育て支援パスポート」などで調べてみるとよいでしょう。
自治体の広報も意外と大切
自治体独自の支援は、常に同じ内容で実施されるとは限りません。年度途中に、
- 期間限定の給付
- 商品券やクーポン
- 子育て用品支援
- 物価高対策
- 新しい預かり事業
- 参加者募集型の子育て講座
などが始まることもあります。そのため、自治体の公式ホームページだけでなく、広報紙や公式SNS、メール配信、子育て情報アプリや情報サービス、母子健康手帳と一緒にもらった案内なども確認しておきましょう。特に期間限定の制度は、申請期限が短いことがあります。
「申請しなくても自動的にもらえる」と思わない
子育て支援を調べるときに、特に気をつけたい点です。制度によっては、対象者であっても、自分で申請しなければ利用できません。たとえば、
- 給付金
- 医療費助成
- 利用料助成
- 一時預かり
- 家事支援
- 多子世帯支援
などでは、申請や利用登録が必要な場合があります。「役所は子どもが生まれたことを知っているから、自動的に全部案内してくれるだろう」とは考えない方が安心です。
支援を見つけたら5つの項目を確認する
利用したい制度を見つけたら、制度名だけでなく、次の5点を確認しましょう。
1.対象になる人
- 子どもの年齢
- 住民票の所在地
- 所得
- 就労状況
- きょうだいの人数
などの条件があります。
2.何を支援してもらえるか
- 現金
- 利用券
- 商品
- 利用料の助成
- サービスそのもの
など、支援方法はさまざまです。
3.いくら・何回利用できるか
「助成あり」と書かれていても、全額無料とは限りません。自己負担額や利用回数を確認します。
4.申請期限
ここは特に重要です。「出生後○か月以内」「利用前に申請」「年度内」など、期限が決められている場合があります。
5.先に払うのか、その場で安くなるのか
医療費などでは、窓口で自己負担が軽くなる方式と、一度自分で支払い、後から払い戻しを受ける方式があります。
「助成されると思っていたのに、最初に現金が必要だった」ということもあるため、支払い方法も確認しましょう。
「去年使えた制度」が今年も同じとは限らない
自治体独自の制度には、予算や年度によって内容が変わるものがあります。上の子どものときに使えた制度が、第2子のときには内容が変わっている。逆に、以前はなかった制度が新しく始まっている・・・ということもあります。
きょうだいが生まれた場合でも、「前回と同じだろう」と思わず、もう一度最新情報を確認しましょう。
引っ越したら子育て支援を一から確認する
自治体独自の制度は、市区町村が変われば内容も変わります。引っ越した場合は、
- こども医療費助成
- 保育
- 一時預かり
- 子育て支援センター
- 健診
- 独自給付
- 多子世帯支援
などを、新しい自治体で確認し直しましょう。特に医療費助成などは、前の自治体の受給資格をそのまま使えるとは限りません。転入手続きの際に、「子ども関係で、別に申請が必要な手続きはありますか?」と窓口で聞いておくと安心です。
隣の市の制度と比較しすぎない
子育て支援について調べると、「隣の市はおむつ代を助成している」「別の自治体では医療費が完全無料らしい」といった情報が目に入ることがあります。
確かに、自治体によって違いはあります。ただし、一つの制度だけで、「こちらの自治体の方が子育てしやすい」とは判断できません。たとえば、
医療費・保育料・一時預かり・給食費・住宅支援・公園や児童館・交通の利便性・子育て支援センター
など、暮らし全体で見ると状況は変わります。将来、子育て環境を理由に引っ越しを考える場合は、給付金一つではなく、長く生活した場合の家計と利便性の両方を比較しましょう。
自治体の制度を一覧にしておくと便利
見つけた制度は、スマートフォンのメモなどに簡単にまとめておくと便利です。たとえば、
児童手当申請済み
こども医療費助成申請済み
子育て支援センター0歳から利用可
一時預かり生後○か月から・事前登録必要
こども誰でも通園制度利用条件を確認
産後ケア利用期限○か月まで
という程度で構いません。「いつか使うかもしれない制度」も、制度名だけ残しておけば、必要になったときに探し直す手間を減らせます。
出産後だけでなく、半年に一度くらい見直してみよう
赤ちゃんが生まれた直後に制度を調べても、その時点では必要のない支援があります。
0歳。1歳。2歳。子どもの成長とともに、必要な支援は変わります。
たとえば、生後すぐなら産後ケア。少し大きくなれば子育て支援センター。さらに成長すれば一時預かりや、こども誰でも通園制度。というように変化していきます。
半年に一度くらい、「○○市 子育て支援」と検索し直してみてもよいでしょう。
支援を使うことを遠慮しなくていい
子育て支援を調べていると、「もっと大変な家庭が使う制度なのでは」「自分はまだ頑張れるから」と思うことがあるかもしれません。
もちろん、支援によって対象条件はあります。けれど、条件を満たして利用できる制度なら、必要なときに使って構いません。
一時的に子どもを預ける。
子育て支援センターで話をする。
家事や育児の支援を利用する。
医療費の助成を受ける。
こうした制度は、子育て家庭の負担を軽くし、子どもと家族の暮らしを支えるために用意されています。全部を家庭だけで抱え込む必要はありません。
「知らなかった」で終わらせないために
自治体の子育て支援は、全国共通の制度より少し見つけにくいことがあります。けれど、一度探し方を覚えてしまえば、それほど難しくありません。まず、「自治体名+子育て支援」で検索する。
次に、自治体名+困っていることで検索する。必要なら、
ぴったりサービス
こども家庭センター
子育て支援センター
ここdeサーチ
なども利用する。それでも分からなければ、自治体へ直接聞いてみる。この順番で十分です。
子育てに必要なのは、お金だけではありません。
少し休める時間。
誰かに相談できる場所。
赤ちゃんと安心して出かけられる場所。
いざというときに頼れる人。
こうしたものも、家族の暮らしを支えてくれる大切な「支援」です。利用できるものを上手に見つけながら、家庭だけで頑張りすぎない子育てにつなげていきましょう。
参考にした主な公的資料
- こども家庭庁「子ども・子育て支援制度」
- こども家庭庁「地域子育て支援拠点事業」
- こども家庭庁「こども家庭センター」
- マイナポータル「ぴったりサービス」
- こども家庭庁「子ども・子育て支援情報公表システム ここdeサーチ」
- こども家庭庁「こども誰でも通園制度」
- こども家庭庁「子育て支援パスポート事業」
- こども家庭庁「一時預かり事業・子育て世帯訪問支援事業」
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