子どもにかかるお金はいくら?妊娠・出産から大学まで

第2章-11 高校までの教育費はいくらかかる?

公立・私立の違いと今からできる準備

赤ちゃんが生まれ、毎月のおむつ代やミルク代を考えていると、「この先、学校へ行くようになったら、もっとお金がかかるんだろうな」と思うことがあるかもしれません。

小学校。中学校。高校。さらに、その先には大学や専門学校があります。

インターネットで教育費について調べると、「子ども一人に1,000万円」「大学までなら2,000万円以上」といった大きな数字を目にすることもあります。

そんな数字を見ると、「今から何百万円も貯めておかないといけないの?」と不安になるかもしれません。けれど、教育費は、子どもが生まれた瞬間にまとめて必要になるお金ではありません。

3歳。
小学校入学。
中学校入学。
高校入学。

と、十数年かけて少しずつ発生します。そして、公立へ進むか私立へ進むか、塾や習い事をどの程度利用するかによっても大きく変わります。

この記事では、

  • 幼稚園から高校までにどのくらい教育費がかかるのか
  • 公立と私立ではどのくらい違うのか
  • 小学校・中学校で何にお金がかかるのか
  • 2026年現在の高校授業料支援
  • 教育費はいつから貯めればよいのか

を、順番に分かりやすく解説します。

※本記事は、2026年8月15日時点で確認できる公的情報をもとに作成しています。教育費の金額には、文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査」の2026年1月16日訂正版を使用しています。実際の教育費は地域、学校、進路、習い事などによって大きく異なります。

まず、高校までにどのくらいかかる?

文部科学省の「子供の学習費調査」では、幼稚園から高校まで、保護者が1年間に支出した「学習費総額」を調べています。最新の訂正後データでは、年間の学習費総額は次のようになっています。

学校
公立
私立
幼稚園
約18万5,000円
約34万7,000円
小学校
約36万7,000円
約174万2,000円
中学校
約54万2,000円
約156万円
高校(全日制)
約59万7,000円
約117万9,000円

ここでいう「学習費総額」は、単なる授業料ではありません。学校教育費+学校給食費+学校外活動費を合わせた金額です。

学校外活動費には、塾や家庭学習、スポーツ、音楽などの習い事も含まれています。そのため、「公立小学校は授業料無料なのに、年間36万円もするの?」と思うかもしれません。実際には、授業料以外のお金がかなり含まれているのです。

幼稚園から高校まで全部公立なら約617万円

先ほどの年間平均額を、幼稚園3年間・小学校6年間・中学校3年間・高校3年間として単純に積み上げると、すべて公立の場合、

幼稚園:約55万円+小学校:約220万円+中学校:約163万円+高校:約179万円の合計、約617万円となります。

一方、すべて私立の場合は、約1,971万円になります。

つまり、進路によって1,000万円以上の差が出る可能性があります。ただし、この数字には大切な注意点があります。

「617万円を今から貯金しなければ」という意味ではない

約617万円という数字を見ると、「赤ちゃんのうちから600万円に向けて準備しなければ」と思うかもしれませんが、そうではありません。この金額は、3歳ごろから高校卒業までの15年間に少しずつ使うお金です。しかも、

  • 日々の家計から払う給食費
  • 毎月の習い事
  • 学用品
  • 塾代
  • 修学旅行
  • 通学費

なども含まれています。すべてを事前に貯金しておく必要はありません。教育費には、そのときの収入から払うお金と、あらかじめ貯めておいた方がよいお金があります。ここを分けて考えることが重要です。

この金額は「2026年現在の必要額」そのものではない

もう一つ注意したいのは、文部科学省の最新調査が令和5年度(2023年度)の実績であることです。2026年現在は、その後に教育費の支援制度が変わっています。たとえば、

  • 2026年4月から高校授業料支援が拡充
  • 2026年4月から公立小学校の学校給食費について国による負担軽減が開始

されています。そのため、令和5年度の調査額を、「2026年に必ず家庭から支払う金額」と考えるのは正確ではありません。あくまで、教育費全体の規模や公立・私立の違いを見るための参考値として使いましょう。


幼児期|3~5歳は利用料無償化の対象

3歳になると、幼稚園や保育所、認定こども園などへ通う家庭が増えてきます。現在は幼児教育・保育の無償化があり、対象となる幼稚園、保育所、認定こども園などを利用する3~5歳の子どもの利用料は原則として無償化されています。

幼稚園については、制度によって月額2万5,700円までという上限があります。ただし、

  • 通園送迎費
  • 食材料費
  • 行事費

などは原則として保護者負担です。さらに、

  • 習い事
  • 絵本
  • 教材
  • 衣類
  • 園独自の費用

などもあります。つまり、「幼児教育・保育無償化=幼稚園時代にお金がまったくかからない」という意味ではありません。


小学校|公立でも年間約36万7,000円

公立小学校の学習費総額は、年間平均で約36万7,000円です。6年間なら単純計算で、約220万円になります。

公立小学校は授業料がかかりません。それでもこれだけの金額になる理由の一つが、学校外活動費です。

公立小学校では7割が「学校外活動費」

公立小学校の年間学習費約36万7,000円の内訳を見ると、

学校教育費:約7万4,000円
学校給食費:約3万6,000円
学校外活動費:約25万6,000円

となっています。学校外活動費だけで全体の70%を占めています。つまり、公立小学校の教育費で大きな部分を占めているのは、「学校へ払う授業料」ではありません。

塾・通信教育・家庭教師・スポーツ・音楽・その他の習い事など、学校の外で使う教育費です。

小学生になったからすぐ塾へ行かなければならないわけではない

学校外活動費の平均が約25万円だからといって、「うちも年間25万円使わなければ」という意味ではありません。習い事をほとんどしない家庭もあれば、複数の習い事へ通う家庭もあります。

私立中学受験を考える家庭では、高学年になるにつれて塾代が大きく増えることもあります。平均額は、「みんながこの金額を使うべき」という基準ではありません。自分たちの家庭で何を大切にするかを考えましょう。

2026年から公立小学校の給食費負担軽減が始まった

2026年4月から、公立小学校の児童の学校給食について、国が自治体を財政的に支援する「学校給食費の抜本的な負担軽減」が始まりました。

ただし、全国すべての公立小学校で完全に0円になる制度ではありません。

国は一定額を基準として自治体を支援する仕組みで、基準額を超える部分などについて、自治体によっては保護者負担が残る場合があります。そのため、実際の給食費は住んでいる自治体で確認しましょう。

令和5年度の学習費調査に含まれる公立小学校の給食費約3万6,000円は、2026年度以降、そのまま家庭負担になるとは限りません。


中学校|公立でも年間約54万円へ増える

公立中学校になると、年間の学習費総額は約54万2,000円になります。3年間なら、約163万円です。

小学校より支出が増える大きな理由の一つが、学校外活動費です。

公立中学校では、学校外活動費:約35万6,000円となっており、学習費総額の約65.6%を占めています。

中学生になると塾代が増えやすい

令和5年度調査では、公立中学校の学習塾費だけで年間約23万円となっています。これは平均ですので、もちろん塾へ行っていない家庭も含まれています。高校受験に向け、

中学1年。中学2年。中学3年。と学年が上がるにつれて、塾や模試、講習などの費用が増える家庭もあります。特に、

  • 夏期講習
  • 冬期講習
  • 受験対策講座
  • 模擬試験

などは、通常の月謝とは別料金になることがあります。

中学校に入ってから突然教育費が増え、「こんなにかかると思わなかった」とならないよう、小学生のうちから、中学以降は学校外教育費が増える可能性があると考えておくとよいでしょう。


私立小学校・私立中学校では金額が大きく変わる

公立と私立の違いが最も大きいのが小学校です。年間の学習費総額は、
公立小学校:約36万7,000円
私立小学校:約174万2,000円

です。私立は公立の約4.8倍となっています。6年間単純計算すると、

私立小学校:約1,045万円

です。小学校だけで1,000万円を超える計算になります。

私立中学校は3年間で約468万円

私立中学校の年間学習費総額は約156万円です。3年間なら、約468万円です。

公立中学校の約163万円と比べると、大きな差があります。私立進学を考える場合は、授業料だけでなく、

  • 入学金
  • 施設費
  • 制服
  • 教材
  • 通学費
  • 行事費
  • 部活動
  • 海外研修など

も確認しておきましょう。特に自宅から遠い学校へ通う場合、毎月の交通費も長期間続きます。


高校|公立約60万円、私立約118万円

高校になると、年間の学習費総額は、

公立:約59万7,000円
私立:約117万9,000円

です。3年間の単純計算では、

公立:約179万円
私立:約354万円

となります。ただし、高校については2026年度から授業料支援制度が大きく変わっています。


2026年度から高校授業料支援の所得制限が撤廃

2026年4月から「高等学校等就学支援金」が拡充され、受給資格に関する所得制限が撤廃されました。
全日制高校の場合の年間支給上限額は、

公立高校:11万8,800円
私立高校:45万7,200円

です。実際に支給されるのは授業料の額までで、上限額そのものが現金でもらえる制度ではありません。また、原則として学校の授業料に充てられる支援です。

「高校無償化=高校でお金がかからない」ではない

ニュースなどでは「高校無償化」と表現されることがあります。しかし文部科学省も、正確には授業料を支援する高等学校等就学支援金であると説明しています。高校では授業料以外にも、

  • 入学金
  • 制服
  • 教科書・教材
  • タブレットなどの端末
  • 修学旅行
  • 部活動
  • 通学費
  • 塾・予備校

などのお金がかかります。授業料が支援されても、高校生活にかかる費用がすべて0円になるわけではありません。

高校1年生は特にお金がかかりやすい

令和5年度調査を学年別に見ると、高校1年生の学習費総額は、

公立:約70万円
私立:約139万円

でした。公立・私立とも、2年生、3年生より1年生の金額が高くなっています。入学時には、

  • 制服
  • 学用品
  • 教材
  • 通学用品
  • 入学に伴う納付金

など、まとまった支出が発生しやすいためです。教育費を準備するときは、高校3年間で均等にかかると考えるより、入学時にまとまったお金が必要と考えておくと安心です。


所得によって利用できる支援もある

教育費の負担が重い家庭には、授業料以外にも公的な支援があります。

小学校・中学校の「就学援助」

経済的な理由で就学が難しい家庭を対象として、市区町村では「就学援助」を実施しています。対象となる費用には、

  • 学用品費
  • 新入学用品費
  • 通学用品費
  • 修学旅行費
  • 学校給食費
  • クラブ活動費
  • PTA会費
  • オンライン学習通信費

などがあります。対象となる所得基準や支給額は自治体によって異なります。必要な場合は、「○○市 就学援助」で調べてみましょう。

高校には「高校生等奨学給付金」もある

高校では、高等学校等就学支援金とは別に、授業料以外の教育費を支援する高校生等奨学給付金があります。

教科書、教材、学用品、通学用品などの負担を軽減する返還不要の給付金です。

2026年度は支援対象が低所得世帯から中所得層へ拡充されています。

詳細な所得要件や支給額は都道府県によって異なります。該当する可能性がある場合は、学校や都道府県からの案内を確認しましょう。


教育費で大きな分かれ道になるのは「公立か私立か」

教育費全体を見ると、一番大きな違いを生むのは、公立か私立かです。令和5年度調査では、年間の学習費総額について、私立は公立に比べて、

幼稚園:約1.9倍
小学校:約4.8倍
中学校:約2.9倍
高校:約2.0倍

でした。特に、小学校から私立を選ぶかどうかで、高校卒業までの教育費は大きく変わります。

すべて私立を前提に貯めなくてもよい

まだ赤ちゃんの段階で、「将来、私立へ行くかもしれないから2,000万円用意しなければ」と考える必要はありません。子どもがどんな進路を希望するかは、今は分からないからです。

ただし、「中学受験は選択肢に入れたい」「できれば私立高校も選べるようにしておきたい」という希望があるなら、それを家計の一つのシナリオとして考えておくことには意味があります。

いくつかの進路パターンで考えてみよう

令和5年度の年間平均額を単純に積み上げると、幼稚園から高校までの概算は次のようになります。

すべて公立:約617万円

幼稚園・小学校・中学校は公立、高校だけ私立:約792万円

私立幼稚園、公立小学校・中学校、私立高校:約841万円

すべて私立:約1,971万円

あくまで令和5年度の平均額を標準年数分掛けた概算であり、実際の一人の子どもを15年間追跡した数字ではありません。

また、2026年度以降の高校授業料支援や小学校給食費の負担軽減もあるため、将来の実負担額はこの数字とは異なります。

それでも、「進路によって、このくらい幅がある」と知っておくには役立ちます。


教育費は「学校のお金」と「学校外のお金」を分けて考える

教育費を考えるときにおすすめなのが、学校へ必要なお金と、家庭で選べるお金を分けることです。

学校へ必要になりやすいお金

  • 学用品
  • 制服
  • 教材
  • 通学費
  • 修学旅行
  • 学校納付金    など。

家庭で選択できる部分が大きいお金

  • 習い事
  • 塾
  • 通信教育
  • 家庭教師
  • スポーツ
  • 音楽
  • その他の活動   など。

もちろん、受験をする場合などには塾が実質的に必要になることもあります。それでも、教育費のすべてが最初から固定されているわけではないということは知っておきましょう。


教育費は中学生ごろから重くなりやすい

公立中心で進んだ場合でも、

幼稚園:約18万円
小学校:約37万円
中学校:約54万円
高校:約60万円

と、年齢が上がるにつれて年間支出は増える傾向があります。さらに高校卒業後に大学へ進学すれば、入学金や授業料など、より大きなお金が必要になります。

つまり、子どもが小さい時期は、比較的教育費を貯めやすい時期でもあります。

0~2歳の今から、全額貯める必要はない

だからといって、赤ちゃんの頃から生活を切り詰めて教育費だけを優先する必要はありません。
0~2歳は、

  • 育休による収入減
  • おむつ
  • ミルク
  • 保育料
  • 住宅費

など、今の生活にもお金が必要な時期です。まずは毎日の暮らしを安定させること。そのうえで余裕が出てきたら、月5,000円とか10000円というように、無理のない金額から将来の教育費を準備していけばよいでしょう。

月1万円でも18年間なら216万円

たとえば、子どもが生まれてから毎月1万円を積み立てたとします。1年間で12万円、10年間なら120万円、18年間なら216万円です。月2万円なら、18年間で432万円になります。

もちろん、実際には途中で積立額を増減しても構いません。育休中は5,000円。復職したら1万円。収入が増えたら2万円。という方法でもよいでしょう。

大切なのは、最初から完璧な金額を用意することではなく、長く続けられる仕組みを作ることです。

児童手当を教育費の一部として考える方法もある

第2章の記事「児童手当はいつからいくらもらえる?」で解説したように、児童手当は高校生年代まで支給されます。その全部または一部を将来の教育費として残す方法もあります。一方、0~2歳の今、生活費に余裕がなければ、

  • おむつ
  • ミルク
  • 保育料
  • 子どもの衣類

などに使っても構いません。「児童手当は絶対に1円も使ってはいけない」と考える必要はありません。家計が安定してから貯蓄を増やすという方法もあります。


今、知っておきたいのは「正確な金額」より「大きくなる時期」

赤ちゃんが生まれたばかりの段階で、「高校1年生のときに何円必要になるのか」を正確に予測することはできません。

十数年後には、物価も授業料も支援制度も、家庭の収入や子どもの進路など・・・すべて変わっている可能性があります。だからこそ今必要なのは、「将来いくら必要かを1円単位で当てること」ではありません。

大まかに、小学校までは比較的ゆるやかで、中学校から塾などが増えやすく、高校入学時にはまとまったお金が必要。その先の大学等では、さらに大きな教育費が待っているという流れを知っておくことです。

教育費は「未来の大きな請求書」ではない

高校卒業まで約600万円。私立なら1,000万円を超えることもある。そんな数字だけを見ると、子どもを育てること自体が、とても大きな経済的負担に感じられるかもしれません。けれど、そのお金は、ある日突然まとめて請求されるものではありません。

絵本を一冊買う。
学校へ入学する。
習い事を始める。
制服を買う。
修学旅行へ行く。
受験する。

一つひとつ、子どもの成長とともに使っていくお金です。そしてその間には、家庭の収入も変わります。支援制度もあります。
選べる進路もあります。

今、赤ちゃんを抱きながら、「高校までのお金なんて、とても用意できない」と心配しすぎる必要はありません。まずは全体像を知る。少しずつ準備する。進路が見えてきたら、もう一度計算し直す。

それで十分です。見えないままの教育費は、大きな不安に感じます。でも、

「小学校ではこのくらい」
「中学校から増えそう」
「高校入学前には少し多めに用意しよう」

と分かれば、漠然とした不安は、これから準備できる計画へ変わっていきます。

まだ小さな子どもの将来には、たくさんの選択肢があります。その選択肢を、お金だけを理由に最初から狭めなくてすむように。今できる範囲から、少しずつ教育費の準備を始めていきましょう。

 

参考にした主な公的資料

  • 文部科学省「令和5年度 子供の学習費調査(2026年1月16日訂正版)」
  • 文部科学省「高等学校等就学支援金制度」
  • 文部科学省「就学援助制度」
  • 文部科学省「高校生等奨学給付金」
  • 文部科学省「学校給食費の抜本的な負担軽減」
  • こども家庭庁「幼児教育・保育の無償化」
    ※令和5年度「子供の学習費調査」は、2026年1月16日に一部数値が訂正されています。本記事では訂正後の数値を使用しています。教育費の実額は、地域、進学先、学校外活動、支援制度等によって異なります。

 

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