日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収が2025年6月18日、正式に完了した。買収に必要な全ての手続きのほか約141億ドル(約2兆円)にのぼる買収費用の払い込みを終え、USスチールは日鉄の完全子会社となった。
米大統領選が絡み政治問題化したことで発表から1年半を要したが、日鉄が一貫して求めた100%子会社化で買収劇は決着した。
日鉄は同日、今回の買収計画を統括してきた森高弘副会長兼副社長が、USスチールの取締役会長を兼任することも発表。
あわせて米政府に発行する「黄金株(拒否権付き種類株式)」の詳細も明らかに。黄金株は1株でも経営の重要事項について拒否権を有する種類株式となる。米政府とは「国家安全保障協定」も結んでいる。
日鉄によると協定と黄金株による権利事項のなかに、米政府がUSスチールの取締役1人の選任権を持つことが盛り込まれた他最高経営責任者(CEO)や最高財務責任者(CFO)など経営中枢メンバーを米国籍とすることも定められた。
今後、2028年までに総額で約110億ドルをUSスチールに投資する計画。新たに製鉄所を建設するほか、高炉を改修して性能を高める。生産する鋼材の品質を高め、研究開発拠点も設ける。
日鉄は米国の競争法上の懸念を払拭するため、米鋼板製造のAM/NSカルバート(アラバマ州)の保有持ち分を合弁相手である欧州鉄鋼大手アルセロール・ミタルに1ドルで譲渡することを既に決めている。持ち分譲渡に伴い、2300億円の損失が発生する見込み。
こうした巨額の投資に見合う収益を得られるかが今後の焦点となるが、USスチールを通じて米国に大規模な生産拠点を確保し、日本からの輸出に頼らず需要地で製造した高級鋼を供給できるようになる。投資で新たな製鉄所の構築も予定する。
トランプ政権は4日に米国内産業保護のため、鉄鋼・アルミニウムの輸入品にかける追加関税を25%から50%に引き上げた。関税の影響を受けない現地拠点で日鉄の技術力を投入して、米国が大半を輸入に頼ってきた高級鋼などの需要を取り込む狙いだ。
日鉄は23年12月にUSスチールを買収する計画を発表した。だが、24年の米大統領選が絡んだこともあり、政治問題化した。バイデン氏は25年1月、大統領退任前に買収計画の中止命令を出した。日鉄側は中止命令を出したバイデン氏と米政権を提訴するなどし混迷が続いた。
政権交代し大統領に就いたトランプ氏が省庁横断組織の対米外国投資委員会(CFIUS)に異例となる再審査を指示したことで、米政府との交渉が再び動き始めた。
日鉄は19日午前、橋本英二会長兼CEOと森氏が出席して記者会見を開き、一連の経緯や今後の戦略を説明する。
参照:日本経済新聞
あっぱれ!!
日本製鉄のUSスチール買収劇は、世界からアメリカの属国と認知されている日本にとって、正に劇的な成果を挙げてくれたと言える。
本当に、あっぱれだ。
ニュースではアメリカ政府に気遣ってか、日本万歳とは言えないのだろうが、黄金株云々の話を考慮しても、日本は日本、アメリカはアメリカであり、決して日本は、無条件にアメリカに服従する関係性ではないことを示して見せたのだ。
鉄工業における日本最大手が、アメリカ最大手の会社を子会社とすることを、良しとしたのだから。
これは、かつて好景気の日本が世界に知らしめたJAPAN as No1 が再び蘇ることを予感させる一幕だった。
今、自信と勇気を失った空気を纏う日本人に、かつて90年までの栄光を知り、失われた35年という失敗から学びより強くなったリーダーの姿を見た。
謙虚で慎ましいのが日本人だ。多くはそれで良いと思う。
しかし少しは豪傑も居て良いはずだ。
神社に狛犬が、お寺に仁王が、玄関に唐辛子が掛かっているように、日本にも怖い人がまだいることを知ってもらえた。
橋本会長ありがとうございます。