金融庁、保険代理店を直轄の専用部署を設置 

監督・検査を強化

金融庁は7月、保険代理店の監督・検査に特化した「保険代理店モニタリング室(仮称)」を設置する。5月に成立した改正保険業法で代理店への規制導入が盛り込まれており、とりわけ旧ビッグモーターのような大規模業者を集中的に監督・検査する。

保険代理店を巡っては、旧ビッグモーターによる保険金の不正請求や、トヨタモビリティ東京(東京・港)による不適切な保険募集など不祥事案が相次いでいる。

生命保険でも、FPパートナーが高額な広告費を受け取り、特定の保険会社の商品を優先して顧客にすすめた疑いがもたれている。

これまでは保険課が保険会社と代理店を一括して監督してきた。

国内に損保代理店は約15万件、生保代理店は約8万件あり、きめ細かい監督が出来ていないとの批判が出ていた。

金融庁は5月に成立した改正保険業法で、新たに代理店に法令順守体制の整備と保険会社による監督強化を義務付けた。

業界団体の日本損害保険協会は、法令順守や適切な業務運営の度合いを独立した視点で評価する制度を新設し、2026年度にも運用予定。

当局の新部署と連携を図り、行政と業界で幅広く監督できる体制を整える狙いがあるようだ。

参照:日本経済新聞


出る杭は打たれる

金融関連の業界は、他業種と比較して、抜きん出て利益率が高い。

つまり儲かるということだ。

その上、功利主義の精神で仕事に励むのだから、驚異的なスピードで帳簿は膨れ上がって行く。

基本的に正しいお金儲けとは、誰かを喜ばせた先にある対価である。

金融業界でお金儲けをするという事は、その【金融商品を購入した人や、サービスを受けた人が喜んでこそ】であって欲しいものだが、果たしてそうだろうか。

金融業界の為の金融はいらない。

それが日本の金融業界の永遠の課題と言える。

かつて、消費者金融業界に同じことが起こり、グレーゾーン金利が(利息制限法と出資法の捻れ)撤廃された。

過去に遡って、払い過ぎた利息を返金するという異例の措置が取られる程に、消費者金融業界は、儲けに儲けていた過去がある。遅延者への取り立ては、法的に威迫困惑にあたることを一切躊躇しない様であったと聞き及んでいる。

そのツケが回っての結果であった。ご存知の通り、「過払い請求」という名のビジネスチャンスを弁護士業界が手に入れることとなったのは、周知の事実である。

それでも、かつて消費者金融業界に深く関わった当事者達は、この事態までに十分に儲けて、今も苦労の無い余生を送っていることだろう。

今回の件も同じである。

戦後から続く、国から保険会社への優遇措置が廃止されたのは、つい数年前のこと、全額損金保険の撤廃がその事実を明確に示した。

次に、保険会社の頼みの綱となったのが、外部で抱える代理店の存在であった。

海千山千の販売部隊を抱える保険会社は売り上げを確保する為、大いに販売部隊に忖度し、その過度な行いが当局の目に付いたということで、販売代理店最大手の通称マネードクターにメスが入ったのが最近の事件である。

それを受けて、今後の対策として明確に出された方策が、今回の記事となっているわけだ。

どの業界でもそうだが、時代が特需を造ることがある。

儲かることは大いに結構、そこをどうこう言うつもりはない。

しかし、このどちらも金融案件なのであるが、金融とは書いて字の如く、金を融通して世の血脈を滞らせないように努めるのが使命であることを忘れてはならない。

自社の利に囚われて、過度な行為に及ぶことは金融業界に関わらず、ままあることかも知れない。しかし、その異常な儲けは金融業界特有のものであろう。

出る杭は打たれ、出過ぎると打たれない。

よく聞く話だろうが、金融業界はそうはいかない。出過ぎた杭でも打たれる。それが、「金」を直に触れる利権を持つ業界の責任だと理解するべきだろう。

保険会社の権力が弱まり、また新たな業界に力が移るのかも知れないけれど、いつになったら、人間は欲望をコントロールできる次元まで成長するのであろうか。

大受  豊
大受  豊HIROUKE YUTAKA
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アジア圏を中心に、投資家として活動しております。私の投資信条は、誠実と成長の種に資金という名の水を注ぐことです!

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